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大内宿散策

DAY24 福島県の重伝建 住民の手で残った茅葺き前沢集落 vs 研究者によって残された茅葺き大内宿


福島県三島町から静岡県三島市へ。この日は600kmの壮大な三島ハシゴ。その間2つの重伝建地区に立ち寄りました。

南会津郡1.が下郷町(大内宿)、4.が南会津町(前沢集落)(出典:wikipedia)

南会津 前沢集落
一つ目が南会津の前沢集落。23戸の小さな集落ですが、茅葺き屋根が残り、ほぼ全棟まだ生活されているお家。殆ど観光地化されておらず、飲食店は集落から川を挟んだところに、一軒、蕎麦屋さんのみ。畑仕事をしているおじいさんに、つい「お邪魔してま〜す」と、頭を下げるような雰囲気のところです。

前沢集落(出典:おいでよ南会津)

重伝建に指定されたのが、平成23年のことなので、比較的新しい指定地区です。国の重伝建の認定を受ければ改修の費用等が一部負担されるのですが、それまでは自前だったはず。それなのに、よく、これまでこんな風に保存されていたなぁ、と関心します。特別、住民で熱心な方がいらっしゃったという分けでもなく、みんなで守ってきたもののようで、行政(県の方だったかな?)の取り計らいで重伝建の申請をすることになったそうです。
前沢集落
1907年(明治40年)に大火で集落が丸ごと焼けてしまい、その後、一時期に集中して同じ建築様式で立て直されたのだそう。集落の半分が曲り家となっています。曲り家はL字型で、Lの長い方が母屋。短い部分が土間となっていて、主に牛馬を飼育する小屋。動力や移動手段としての家畜を寒さから守る工夫がされている家のことです。
曲がり家
曲り家といえば、岩手県の南部藩領地だったとこの建築様式だと聞いていましたが、山形県の飯豊町でも、ここ福島県の南会津でも曲り家に遭遇。実は、東北地方で以外と一般的な建築様式なのでしょうか。

水汲み場住宅の前には決まってこのような清水の汲み場がありました。庭仕事のおばあちゃん、いいですね。

「曲り家資料館」で中の様子を見るとともに、常駐のガイドさんにお話を伺うことができます。ガイドさんはこの集落近くで育ったという方で、上記の説明、そして子供の頃は、曲り家にまだ馬がいて、馬がヌーッと首を延ばして見つめてくるので、前を通るのが怖かったという生活感たっぷりのお話をしてくださいました。茅葺き屋根メンテのため、ほぼ毎日午前中いろりに火をいれているそうなので、訪問は午前中がおすすめ。

無人販売スタンドお土産は集落内に3つくらいある、この無人スタンドで。

蕎麦畑この蕎麦の花から裏のおうちでは蜂蜜をつくっていました。これもスタンドで購入可。

桧枝岐村に寄り道
次の目的地、大内宿に向かう道中、ちょっと回り道をして檜枝岐村(ひのえまた)に。山登りをする方は尾瀬の福島側の入り口として、ご存知の方も多いようですね。

檜枝岐村に興味を持ったのは、北塩原村の夜のBBQの席で、「南会津でも檜枝岐村だけは平家の落人の集落で、関西弁を話す。全然何を言っているかわからない。」と聞いたため。検索してみると、人口611人と福島県で最も少なく、また日本一人口密度の低い自治体でもある。それもそのはず、2,000m級の山に囲まれた谷間に位置しており、可住面積がとても少なそう。
桧枝岐村
展望台に登ると、赤屋根でなかなかの景色。どうして田舎の屋根は赤か青なのか。それは、「青と赤の塗料が安いから」と、前日三島町の青木さんが、教えてくれました。茅葺き屋根の上から赤や青の途端がそれを覆ってしまっているのを見るとやるせない。しかし、ここまで統一されていれば、それはそれでよい気もしてきます。

結局、お店の人等は話しかけても、標準語に合わせてくるので、残念ながら関西弁の程はわかりませんでしたが、民族資料館には檜枝岐村の方言は「京弁」として、展示されている程だったので、結構プライドを持っているんでしょうね。

桧枝岐村のマネキン資料館にあったマタギの服装展示。ふざけているのだろうか。それとも普通にマネキンを注文したらこうなったのか。

 

茅葺き屋根ずらり大内宿
大内宿に入る前に、道ばたにちらりと、珍しい茅葺き屋根の駅舎を目にしました。湯野上温泉駅というそうで、なんと待合室にはいろりもあるそう!行けばよかった…。電車で来られる方は是非。

さて、大内宿。ここは、すごい。茅葺き屋根の大きなお家がずらっと軒を連ねています。切妻の妻側を道路側に向けているのが特徴です。以前、江戸と会津を結ぶ会津西街道は61里、5泊6日の旅だったそうで、その2泊目くらいの宿場だったのでしょうか。参勤交代の重要ポイントであったようです。しかし、その後、大体交通の発達により、ポツンと取り残されてしまいました。

大内宿
昭和40年くらいになり、研究者により再発掘されたようです。イザベラ・バードが泊まったというお宿も。その研究者達からの要請もあり、重伝建指定は比較的早いのですが、住民は反対。マスコミが都会の構想ビルと比較して茅葺き屋根のこの集落のことを後進的に捉えていたこともあり、住民としては近代化の波に乗りたかったようです(出典:wikipedia)。

大内宿2
確かに、せっかくの立派なお家もみーんなお土産物屋さんかおそば屋さんになってしまっている感じがあり。住んでいる方がこの景観を愛して、守ってきたというよりは、観光地化しようという気概の方がより強く感じられ、それはちょっと残念でした。

お土産物屋みんなこんな感じ…

ハコはいいけど、コンテンツに乏しい。そういう感じです。唯一ここの名物らしきものは、ネギ蕎麦。これも歴史を調べればもともとは高遠(たかとお)蕎麦といって、大根おろしで食べる蕎麦がこの辺りの名産だったものを、誰かがインパクト重視でネギ蕎麦に改良したようで、特に歴史的な意味はなさそう。ネギ蕎麦といっても、2タイプあって、1本のネギを箸代わりに薬味としてかじりながら食べるもの。もう一つは白髪ネギがこんもり乗ってくるタイプ。食べる前にお店に要確認です*。

ネギ蕎麦に挑戦ネギ1本蕎麦に挑戦。すごく辛い上、翌日まで口がネギ臭く、喉が渇きまくる。

特に展望台とかはないのですが、奥にある子安観音から弁天様に抜ける道から町がよく見えるので、おすすめスポットです。大内宿は改良の余地大有りですが、景観は本当によいところ。周りも山ばかりなので景観を壊すものもそれほどなく、湯野上温泉とセットで訪問すれば公共交通機関だけでもアクセス可。地味に、年間140万人の観光客が来るそうなので、ハイシーズンはご注意を。

大内宿マップ(出典:宿場大内宿 観光協会HP

秘境ごろごろの南会津
備忘までですが、三島町から大内宿までの道中、「このトタンの赤やね外して茅葺き屋根にしたら、ここも重伝建物だろうな…」というレベルの古民家の残る集落をたくさん通り過ぎました。やはり茅葺き屋根はメンテンンスが大変なので、よほどのことがない限り、とたん屋根をかぶせてしまうのですが、現在の技術を駆使して、なんとか、より安く簡単に茅葺きの景観を守れないものでしょうか…。そんなことを思いました。

途中の集落通りかかった集落の様子。こんなところがゴロゴロあります。

*とても参考になるネギ蕎麦の食べ比べ記事 電車で会津の旅「大内宿」名物「ねぎそば」のいろいろ

 


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