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Cantina Riezo湯本さんと

DAY33-2 美しい村連合・長野県高山村 意外と科学的!?循環型農業・温泉・ワインの三拍子がそろいつつあるアンチエイジングの里


アンチエイジングの里
長野県、実は日本一のご長寿県。平均寿命は男性1位、女性は5位で、男女ともに、トップ5にランクインしているのは長野県のみH17厚労省統計)。高齢者の高い就職率と、日本で2番目に温泉地が多いことが、その要因ではないかといわれているようです。

高山村もご多分に漏れず。人口約7,300人(国調人口推計2014.7.1)のこの村は、リンゴや葡萄の果樹園で多くのご高齢の方が現役で働いている上、8つの温泉地を有しています。が!調べてみると、長野県内の77市町村のうち、高山村の平均寿命は44位と中程度。はて、ではなぜアンチエイジングを標榜しているのでしょう?

高山村地図(出典:wikipedia ↑濃い緑が高山村)

観光協会@スパイン
その謎を解明すべく、いざ、観光協会へ。観光協会はスパ&ワイン=スパインという施設内。アンチエイジングの要因と思われる、温泉とワインの名前を冠した施設なのだから、きっとものすごいアンチエイジングに力をいれているのだろう!と思いきや、特にその様子もない。それどころか、ワインすら売っていない…。あれ?笑

高山村内マップ(出典:高山村HP

あのぉ、アンチエイジングの里って、なんでなんですか?
温泉に、新鮮な野菜や果物など、みなさんにリフレッシュして健康になっていただける村、ということです!
…それなら、この辺りどこにでも当てはまるのではないか…。と思い、よくよく聞いてみれば、そこには、より科学的な根拠が隠されていた。なんと、ご長寿遺伝子を研究している白澤教授が無作為に抽出した村民60名の遺伝子を調べた結果、高山村の人々は長寿遺伝子「テロメア」が長い(注:テロメアが長いと長生きらしい)ことが判明したそうだ。
高山村観光協会
今回、案内所で対応してくださった湯本恵さん(写真左)も、先祖代々この地に住んでいる生粋の高山村民として、実験に協力し、事実テロメアが長いことが判明した一人だという!遺伝子レベルの話だから、実は観光のネタとしてはアピールしにくく、歯切れが悪かったのだろうか…。と思い、後から調べてみたところ、テロメアは生活環境により、後天的に長さが変わるものだそうだ。ならば、自信を持って、高山村はもっと自らの長いテロメアのことをアピールしてもよいと思う。(ちなみに、写真上部に季節外れな桜が写っていますが、高山村、春はしだれ桜が有名だそうです!)

さて、更に、村のwebサイトを拝見すると「環境保全型農業」に取り組んでいるとの記述があった。これまた気になって聞いてみると、偶然、立ち寄っていた元観光協会職員の黒岩さんが、その農業の企画に携わった方であった。何やら「地力増進施設」という不思議な名前の施設を見学に行けばわかるらしい。
観光協会にて

コンプリート!と思ったら!?
長野県には美しい村連合加盟村が全部で7つと、全国で最も多い。連携してイベントの企画等も行っているようで、私たちがお邪魔した期間中は、ちょうどスタンプラリーを実施中だった。私たちは中川村から入り、高山村で7つコンプリート!全てまわって応募すれば、1泊2食の旅があたるチャンス!なかなか全踏破する人はいないだろうから、私たちが当選する確率は相当に高いだろうと、ほくそ笑んでいると、湯本さんに
「結構いらっしゃいますよ〜、高山村が最後です!ってお客さん!」
と、満面の笑みで一蹴されてしまった。
スタンプラリー
ヤマボク
お腹が減ってきたので、腹ごしらえ!と思ったものの、ただでさえ多くない食事処は悉く定休日。村の一番山の上、どんづまりのYAMABOKUこと、山田牧場の見晴らし茶屋なら…と教えてもらい、いざヤマボクへ。
ヤマボク
北海道ぶりの放牧!スキー場を、夏の間牧場にしているんですね!ああ、それにしても北海道の低温殺菌牛乳と美味しいチーズが懐かしい…
みはらし食堂
いかにもスキー場の食堂っぽい食堂が4軒ほど。夏場は2軒しか開いていないようだ。
「メニューにある牛丼のお肉って、この牛のものなんですか?」
いえ。この牛は飼ってるだけなんです。
「え、じゃあこの牛乳は?」
「これは里の方の牛のミルクです。」
と。なんだかチンプンカンプンである。じゃあ、この牛達はここでなにをしているのだろう?ペット?!とりあえず、地物という緑の大豆からつくった緑のきな粉のお餅と五平餅で飢えを凌ぐ。
見晴らし茶屋2
後で調べてわかったことだが、どうやら高山村の平地の方の畜舎で買っている牛を、夏の期間だけスキー場に放牧しているらしいのだ。牛の健康を気遣ってのことだろうか。きっと彼らにとってはあまりに当たり前すぎるのだろうが、もうちょい説明がほしかったところ。

七味温泉
8つある温泉のうち、観光協会の方にすすめてもらった2つの温泉をはしご。一つは七味温泉。といっても温泉郷の中にいくつか施設がある。webで評判のよさそうな渓山亭にした。濁り湯で、じゃんじゃん源泉掛け流し。ほどよい硫黄臭に温泉気分満点で大満足のお湯だった。今のところ一番のお気に入りは鶴居村ではいったモール泉だったけれど、この温泉もなかなかよかった。
七味温泉
雷滝
次の温泉の前に、近くの雷滝(かみなりだき)に立ち寄った。高山村にはいくつか滝があるけれど、その中で一つ選ぶとしたら、これ。かなり高いところから落ちていて、その轟音からつけられた名前らしい。滝の裏をくぐれるようになっていて涼しい。
雷滝
滝の湯
ちょっと涼んだところで、もう一つの温泉、滝の湯へ。こちらは、谷の下へ降りたとこにある、大自然の湯。川の流れにかなり近い露天風呂はバスタオルOKの混浴。透明のお湯に黒っぽい湯の花が浮かぶ、七味温泉とはまた全然違う泉質。加温・加水・塩素消毒なし、湯量も多く申し分ない源泉です。出口にバスタオルの脱水機まである。笑
滝の湯

環境保全型農業
身を清めたところで、例の地力増進施設へ。黒岩さんのハンドライティングの地図をもとに、ちょいちょい迷いながらも到着。この施設、村の事業者・個人から生ゴミを回収して、牛糞と混ぜ、堆肥にする施設。昭和57年の設立以降、徐々に施設増強し、悪臭の解消、そして循環型農業の根幹を担っている。突撃訪問にも関わらず、全ての施設を見せながら丁寧に説明してくださったのは施設の責任者である福田さん(この施設と同い年とのこと。若い!)
生ゴミ・地力増進施設
まず、町中から集まった生ゴミ。うぅ〜っ、堪え難い悪臭…(せっかく温泉はいったのに…)。
地力増進施設・はじいたゴミ
これを乾燥させ、選別して、混入したビニールや金属類を抜き取り、牛糞と混ぜていきます。ここではゴミの生臭さが、牛舎の中のような牛糞の臭いに変わっていますが、まだ臭い。

しかし!ここから、約3ヶ月かけてこの堆肥の元を、微生物に分解させます。微生物が働くと、その熱で土が暖まるため、手を突っ込むとかなり熱いらしい。
地力増進施設・分解施設
そして、約3ヶ月後。この小屋の反対側から、ところてん方式に、分解された堆肥が吐き出されてくる仕組み。これが、ものすごくサラサラな上、全然臭くない!お世辞ではなく、本当になんにも臭いがしないのです!!
地力増進施設・分解後
この無臭堆肥の秘訣が「BMコシミズ菌」。北海道発祥の微生物で、これが牛糞を臭みの原因ともども分解してくれるようです。このBMコシミズ菌、堆肥を寝かせる前に機会で混ぜ込むわけではなく、牛の飲み水(or飼料?)の段階で混ぜておくのだそうです。なんと牛の腸内環境も整い、一石二鳥。人が飲んでももちろん有効ですが、結構高いらしいですよ(amazonで探してもなかったけど…)。
地力増進施設

夢の高山ワイナリー
最後に訪ねたのは、ワイン用のぶどう農家の湯本康之さん。湯本さんは、もともとワインメーカーで働かれており、イタリア視察に行ったのがきっかけで、自らワイン葡萄農園をもつことに。日本でワイナリーというと「工場」というイメージですが、イタリアでは「酒蔵」という感じ。ワインも「どぶろく」や「漬け物」という感覚で、家でつくったりしている。
湯本さんと
もっと、気軽に、産地に来て、ワイナリーを見学しながらワインを飲むような文化が日本にも育ってほしい…。そんな想いが、湯本さんをイタリア修行にまで向かわせた。なんのツテもない中、飛び込んで半年間、修行を積み、帰国した7年前から、この土地でワイン用ぶどうの生産に取り組み始めたそうです。
ブドウ畑
湯本さんという名字が多いこの村。てっきりご主人もUターン組かとおもったら、移住組。高山村は適度に乾燥しており、水はけもよい。寒暖の差もあり、栽培に適しているそうです。暑いと熟しすぎて、糖度があがる=分解されてアルコールが強くなってしまうため、適度に酸っぱいブドウがいいそうです。

現在畑には約2,000本のブドウの木が植えられています。イタリアで修行された湯本さんならではの、珍しいイタリア品種のバルベーラが注目株。この白いのは石灰。「汚い」と言われることもあるけれど、天然に存在する石灰は害虫防止のための伝統的な方法だそうですよ。
石灰のついたブドウ
ワイナリーを始めるには、通常6,000ℓの最低生産量がなければ許可がおりないそうですが、高山村はワイン特区として認められており、2,000ℓから製造を開始できる。ただ、村内ではまだ食用の大きなぶどうをつくっている方が多く、ワイン用の酸っぱいぶどうは品質が劣るという考えが根強いようで、なかなか共同でワイナリーを持つことに賛同を得るのに苦労されているようでした。

ワインといったら山梨というイメージが強いけれど、山梨は(近年の気候変動の影響もあり)やや気温がたかいため、現在は山梨で醸造しているものも長野県産の葡萄をつかっているものが少なくないそう。地ビールが原料のホップを輸入によって賄えるのに対し、ワインはテロワール。そこの土地の力がすなわち味を決定する重要な要素。生産者さんの顔が見えるこの村で、ワインが醸造できるようになるといいですよね!だって、この景色、見てください。これ、日本ですよ!こんなところでゆったり本でも読みながら、ヤマボクのチーズをつまむ(或は野沢菜…)。翌日は温泉にじっくり浸かる。いいじゃないですか〜^^
Cantina Riezo湯本さんと
ちなみに、高山村のワインはどこで手に入るかというと、現在は藤田屋という町の酒屋さんのみで扱っているそうです。村の人にとって、まだワインは敷居が高い存在。焼酎、チューハイ、ビール文化であるため、あまり村内では扱っていないそうで、店長さんにわざわざ倉庫から出してきていただきました。う〜ん、せっかくとってもよい可能性を持っている土地と、想いをもった人がいる。是非、ワイナリーの夢、応援したいです!!

【追伸】ちなみに、今回はタイムオーバーで未確認に終わってしまいましたが、循環型農業の取り組みとして、もう一つ、地力増進施設の他、農薬ではなく、人口ホルモンによる害虫の駆除も行っているそうです!

 


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