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銅の町の銅像

DAY35-2 重伝建・富山県高岡市 金屋町・山町筋 すぐ近く、時代も性格も異なる2つの町が同時に楽しめる(ようにしてほしい)!


高岡市は人口約17万人(2010年国調)の町に、2つの重伝建地区を抱えています。もともとは江戸時代、前田利長が築いた高山城の城下町として栄えた町。当時の町割りや、お祭りが残る町で、歴史的なまちなみづくりに取り組んでいます。高岡市位置情報

2カ所の重伝建地区は、鋳物師が多かった金屋町と、高山市独特の山車(=神輿)を持つ町、山町筋。2つのエリアは車で5分もかからないほど、近いところにあります。地図でみると、こんな感じ。赤い点線のところです。右の水色の四角は高岡城跡のお堀。そこから高岡大仏のある角を左に辿って行くと、山町筋。金屋町は、地図の一番左上の通り。金属加工で火を使うため、火事を危惧して、城下町から外、川の対岸につくられたそうです。ただ、火事が起こってしまったのは、皮肉にも山町筋の方だったのですが…

高岡市地図

金屋町(かなやまち)
前田利長が、町の繁栄のため、鋳物師(いもじ)を集めて住まわせたのがここ、金屋町。鋳物師とは、字の如く、鋳物、つまり金属を熱し、型に流して冷やし固める技術。その後、時代に合わせて、形を変え、現在でもアルミ加工や仏具等の銅製品が有名のようです。

金屋町

表から見ても、作業場が見えるわけではなく、職人町には見えませんね。むしろ、この町の特徴である千本格子(「さまのこ」と呼ぶらしい)がとてもお上品。どうやら、火事を気にして、母屋から離れた裏の庭の方を作業場にしていたからだそうです。が、現在は、本当にあんまりここでものはつくっていないのかもしれません。町の方に、郊外に大きな金属加工の団地ができて、多くの人はそこで作業をしていると聞きました。

鋳物資料館金屋町の一軒を改修して整備された、高岡市鋳物資料館。これは、館内に再現された、いわゆるたたら場。金属の溶解炉に風を送る仕組みを、体験できるようになっています。

kanaya町中に、なにやら一風お洒落なお店発見。下は若い、金属加工系のクリエーターさんたちのギャラリー兼ショップ、2階にはどうやらこのお家の資料館となっている模様。なんと、アルミサッシ会社の創業者さんのお宅。それまでは木枠だったものが、徐々に、より風雨に強い鉄にとって変わって来ていたところ、より軽くて強いアルミサッシを世に出したそうなのだ。

アルミサッシ便利だったんだから、仕方ないのだろうが、なんともやるせない気持ちだ。このサッシ、見た目が日本家屋にマッチしていないと思いませんか。日本各地をまわっていて、このアルミサッシなるもの、現在の日本の景観に、深刻な影響を与えていると思うようになった。が、下の写真を嬉々として残しているところをみると、当時はこれが美しく見えたのだろうか。よほど、上の階の木枠の方がかっこいいと思うのだけど…

三共アルミの写真

 また少し通りをいくと、一部、石畳を工事していた。工事のためと言えど、この美しい御影石の石畳をコンクリートで埋めてしまい、市民から苦情の声があがったという話を耳にした。確かに、脇には、工事後、石畳に戻す旨のことが書いてあった。

御影石工事そして、さすが銅製品の町!小学校の七不思議の定番、懐かしの緑青まみれの銅像を発見。奥では、薪をしょった二宮尊徳氏も勉学に励んでいらっしゃいました。こういうところでつくってるんですね〜、これ!日本の銅器の8割はこの町でつくられているんですって(資料館のおばちゃん談)。

銅の町の銅像

山町筋(やまちょうすじ)
さて、車に乗って今度は山町筋へ。こちらでも、まずは土蔵造りのまち資料館へ。この資料館、以前は面問屋さんとして繁栄したお家で、市がそれを買い取ったもの。入館料はかかりますが、ガイドさんからの簡単な説明つきなので、おすすめです。
高岡市土づくりのまち資料館

「山町」という名前の由来は、この山車(=神輿=ヤマ)。これを持っている町のことを指すそうです。この神輿、前田家が秀吉からプレゼントとしてもらった御所車(牛車)で、前田利長が、これを町民にあたえたもの。7つの山車を各町で保有、それぞれ上に乗っかっているオブジェのデザインが異なり「御車(みくるま)」と呼ばれています。花が四方八方にぶら下がって、傘のようになっており、とてもカラフル。毎年5/1に行われる高山御車祭(みくるままつり)は、この7基が町を練り歩く、華やかなお祭だそうです。

御車レプリカ

冒頭にも書きましたが、この山町筋、明治の大火で町が焼けてしまった。そこで、富山県からの指導で、防火対策のため、一斉に土壁造りの町家に建て替えられ、現在の町並みになったというわけ。

山町筋表の通りからは電線が撤廃されている上、道路の色も明るくなっており、広々とした感じにはなっているものの、旧北国道(北陸道)沿いであるため、車の通りはそこそこ多く、立派な建物が残るにも関わらず、残念ながら建物は脇役に追いやられている。

北国街道

こちらは高岡の代表的な住宅、菅野家(すがのけ)。2階はまだ住宅として活用されていますが、1階部分は見学が可能とのこと。黒漆喰の重厚なつくりで、窓の戸まで石造り。シャチホコの鬼瓦、梁の本瓦、そして高岡っぽいのが、軒を支えている鋳物の支柱(白っぽく見える3本の柱)と、防火のため、隣の家との間に置かれたという煉瓦の壁。私たちは入らなかったのですが、菅野家は内部の仏壇や欄間、壁の塗り等もものすごく豪華らしい。高岡銀行、高岡がス等、実業家として地域に貢献したお家だそうです。

菅野家気になったのが、写真右の板壁の上部のあみだくじマーク。古っぽさを演出した最近のデザインか、はたまたとってもモダンな古い絵柄か?先の資料館の壁にもあったこのマーク、なにか意味ありげなので、聞いてみると、「源氏香」の香の図なのだとか!

聞いたことはあったけど、調べてみると、源氏香はとてもよく考えられた香り当てゲーム。5つの香を聞いて(=嗅いで)右から順に、同じ香りだと思ったものの頭をつなぎつつ、縦線5本の図を回答とする。こうすると、5本の線で52組の組み合わせができ、それを源氏物語52になぞらえ、名前を付けたものだそう。なんと風流な。えっと、一番右のマークは1と4晩目がくっついてるから、「須磨」。

源氏香の図(出典:wikipedia)

 

「山町筋の新しい顔だから」と、資料館のおばちゃんに薦められて、ちょっと立ち寄ったのが、「HAN BUN KO」という富山県内初のFABスペース。1日2,000円で3Dプリンターまでつかえちゃうそうです。

はんぶんこ裏側半分はギャラリー兼ショップ。たまたま1900年代のものを集めるという企画展をやってたので、特別だったのかもですが、もうちょい、高岡ならではのものが置いてあると、女心(か、コレクター心か…)をくすぐられます。

はんぶんこショップ

まとめ

こんな近くに、2つの全く趣の異なる、そして時代も異なる(大火があったため山町筋のが新しい)重伝建エリアがあるというのは、結構面白いこと。なのに、その2つの連携があまりとれていないのが、もったいない。現状では、webで2エリアが一緒に掲載されている地図すら、探すのが結構大変でした。せめて、同一のパンフなり、マップなり、あったら訪問者も助かるし、回遊性を高めてまちも盛り上げられるのでは。

 

 


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