© coinaca/コイナカ All rights reserved.

菅沼集落

DAY39 重伝建・富山県五箇山集落 このままそうっとしておきたいくらい美しい合掌造り、相倉・菅沼集落


白川郷は世界遺産認定され、更に有名になりました。しかし、実は、世界遺産登録名は、「白川郷・五箇山の合掌造集落」と、より広いエリアなのです。赤尾谷、上梨谷、下梨谷、小谷、利賀谷の5つの谷からなるので「五箇谷間」となり、これが転じて「五箇山」(wikipedia)となったのが名前の由来。

五箇山エリアには70の集落に、合わせて1,500棟を超える合掌造の集落があったそうです。現在は住所としては南砺市に含まれています。距離的には白川郷と非常に近い(地図参照)のですが、その間の交通の便が悪かったため、白川郷よりマイナーで、より昔のまま残っていると聞いていた、このエリアの重伝建相倉集落(あいのくら)と菅沼集落(すがぬま)を訪問しました。

五箇山マップ(赤:相倉集落、青:菅沼集落、黄:白川郷)

砺波 散居村展望台
展望台は、上の地図の緑のところ。山奥の合掌集落に乗り込む前に、山の入口で砺波平野を見下ろしながら朝ごはん。昨日、白峰で買った堅豆腐に道志村のアニィの醤油でタンパク質補給をはかります。手でちぎれる程堅かったです。ちょっと高野豆腐みたいで、歯ごたえもあり美味しい。

堅豆腐

散居村(さんきょそん、正式には「散村」というらしい)とは、だっだぴろーい平野に、民家が、集中して集落をつくらず、ぽつぽつと点在する形態。一軒一軒が雪や風をよけるため、カイニョと呼ばれる屋敷林を持っているのが特徴で、この時期は田んぼの黄緑色と林の濃い緑がきれいですね。220haに7,000戸。日本一の規模の散居村。ここまで来ると、もう村ではないでしょうけど….

砺波平野

相倉集落(あいのくら)
まず、五箇山・相倉集落へ。くねくね山道をゆきます。が、突然目の前が小さく開け、現れる集落。たった23軒の民家の小さな村です。急に青空が顔を出したタイミングだったこともあり、息をのむ程美しい景色でした。駐車場は、町の入口に、小さなものがひとつあるだけ。集落の方の駐車場も兼ねているのか、集落内に車は見当たらず、道は細くて、車を気にせずのんびりぶらぶらできます。これは駐車場上から5分くらい登った村の展望台から。おすすめスポットです。

相倉集落

この村はぶらぶらと歩くだけでもなんだかとても気持ちのいいところ。ですが、せっかく来たので村の奥にある、相倉民族館に立ち寄ってみました。館内に入ると、懐かしい民謡が。小学校の運動会の出し物で踊った「コキリコ節」です。知らずに踊っていましたが、五箇山の民謡なんですね。嬉しくなって、ささら(踊りのときに使うこのジャバラのような木の楽器?)をいじっていると、受付のおばあちゃんが、ご指導に来てくださいました。若い頃はお祭の踊り子さんだったそう。今は孫が部活で民謡の全国大会に行っているのだとか。DNAが受け継がれてます。

ささら

民族館の屋根を内側から。釘1本使わず、縄で、こんなに重い萱を支えている。合掌造りの屋根や60度。つまり正三角形をしている。豪雪地帯なので、雪が落ちるよう、急傾斜にしてあるのは言うまでもありません。

茅葺き屋根内部

民族資料館での新たな学びは、「塩硝」(えんしょう、煙硝とも)について。白川村も、次に訪問した菅沼もそうだったらしいのですが、豪雪地帯のこの辺りの家々では、囲炉裏の下で塩硝をつくっていたというのです。塩硝とは、火薬、つまり鉄砲の弾の材料。蚕の糞や、ヨモギ等を3〜4mの穴に重ねて、培養してつくります(先祖代々の硝酸菌がいて、それが絶えてしまった現在では再現がむずかしいとのこと)。」

 

塩硝づくりの断面(出典:貝類図鑑

そして、塩硝街道を通り、前田藩に納められました。塩硝街道は当時の地図には掲載されていない陰道。前田藩は江戸徳川家には見つからないよう、山奥で密かに弾薬を製造していたそうです。当時の緊張関係が伝わってくるようで、おもしろいですね〜!冬期に作物がとれない村人の、収入の手だてともなっていたかもしれません。その後、南米から天然の硝石が輸入されるようになり、日本からは消えていったということです。

煙硝街道(出典:街道歩の旅

珍しい、屋根から地面まで全て茅葺きの原始合掌造りも、集落の中心に残っています。日本の中で、白川郷とここにしか残っていないそうです。なんか、竪穴式住居みたいです。

原始合掌造りところで、先の資料館のおばあちゃんの話によると、茅葺きの屋根というのは、半分づつ交換するもの。1面1,000万円はかかるそうです。「集落の入口にこの前半分吹き替えたものがあるよ」と言われて見つけたのが、これ。本当だ。左側だけ色が薄いのが、わかりますか?

屋根を変えた合掌造り

ちなみに、相倉集落には目立ちませんがちゃんと旅館も、飲食店もある。もうひとつの重要な産業だったという紙すき探検をできる施設もあります。どれも、とても控えめな看板で好感が持てます。あんまりおすすめすると、のんびりしたよさが損なわれてしまうのではと、矛盾を抱えながらも、おすすめしてしまう、非の打ちどころのない美しい集落です。

相倉マップ(出典:合掌造り保存財団

高千代にてランチ

菅沼集落へ向かう途中。やけにお腹が減って、通りかかった「くま丼」のお店高千代へ。なんと、ご主人自ら猟銃免許をもつハンター。自分が獲ったものの肉をだしてくれるので、季節のおすすめ等、お話しながらメニューを選ぶとよい。本来は単なる食堂らしいのですが、口コミでジビエ食堂との噂が広まり、殆どのお客さんがジビエメニューを注文するそうです。

高千代メニュー

ご主人のおすすめは、なんといっても熊鍋。新鮮な(?)熊肉は臭みもないし、何よりそのあとの雑炊が美味しいという。「女性が、男性的な熊肉を食べて、夏は精力をつけるもんだったんだ」といわれ、郷にいりては郷になんとか。おすすめを注文。本当は、見たことがなかった、ハクビシンを食べてみたかったんだけど…(女性的な肉、ハクビシンは、結局彼が注文)。

熊鍋子供の頃からこちらにお住まいとうお店のご主人。地域の情報も色々ご存知です。昔は自分の家も茅葺き。周りにはまだまだ茅葺きの集落が多く残っていたといいます。
なぜ、相倉集落と、菅沼だけ、あんなによい保存状態で残ったんですか?どなたか、熱心な方がいたんですか?」と聞くと、極端に貧しかったから、建て替えられなかったのだという。その真偽のほどはわからないが、地元の人は、そういう意識である、ということはわかった。

つまり、茅葺きは貧乏人のものだ、ということ。ソトモノだから言えることかもしれないけれど、あんなに美しい村や、暮らしの文化を、誇りに思えない世の中の価値観というのは、どこで、どんな風に形成されてしまったものなのだろう。やっぱりハクビシン鍋のがおいしかった…と思いつつ、色々悔しい気持ちを胸に、店を出た。

高千代

菅沼集落(すがぬま)
5分も走らず、菅沼集落に到着。菅沼集落にも9棟の合掌造りの家が残る。しかし、直前に相倉集落を見てしまったためか、はたまた集落まで下る、不要とも思える仰々しいエレベーターのせいか、感動はややうすい。もちろん、こちらも美しく、順番が逆ならまた印象は違っただろう。

菅沼集落

駐車場が高い位置にあるので、このエレベーターで集落の位置までおりる。エレベーターを降りて、さらに細長く、暗い洞窟(トンネル)を抜け、やっと集落にでる。一人だったら、私は怖過ぎて集落に降りるのを踏みとどまったかもしれないほどの気味の悪さ。女性の一人旅で菅沼はおすすめしません。

菅沼エレベーター

この集落は庄川が蛇行しているちょうど内側にあたり、3方を川に囲まれた形になっている。この川には橋を渡すことが許されず、五箇山は流刑の地とされていた。籠に乗せられ、「籠渡し」で川を超え、流人がこの地に送られた。今も残っている籠(本物は集落内の資料館の中。これはたぶんレプリカ)。

籠渡し

菅沼集落でも、一応資料館を訪問しました。が、もし相倉とセットで訪問するなら、どちらかひとつでいいかもしれません。もちろん、私たちのように、保存のための一票と思って入場料を投じるという方は、それなりに、楽しむべきものもありますよ。再現された塩硝の穴や、火縄銃体験(触るだけね)等。

菅沼集落

しかし、どちらか一方にしか行けない…という場合は、相倉をおすすめします^^


キーワード, , , ,



関連記事

京極町_男爵の花

DAY11 美しい村連合・北海道京極町 自分たちのために美しい町を守る 羊蹄山麓名水の町のシンプルなチョイス

京極町の魅力は至ってシンプル。なんといっても羊蹄山麓の名水。そして羊蹄山をバックにした美しい農村風景にある。 日本の湧水百選にも選ばれてい…

おやき村

DAY32-1 美しい村連合・長野県小川村 明治時代の石張り水路、農業女子、古民家ゲストハウス、おやき村…本州のヘソには見所が集まっていた

人口約2,800人(2014.7.1.国調推計人口)。最近、この数字を見ても「お、ある程度大きい」と感じるようになってきてしまった。東京の巨…

本川市長と

DAY35-3 富山県氷見市 旅の醍醐味はハプニング…にしても、はちゃめちゃなハプニングに見舞われた日本初・体育館リノベーション市庁舎視察

この4月末の退職前、私は銀行の調査部門で、地方自治体の公共施設関係の調査を担当していた。高度経済成長期に、一気に整備された日本のハコモノ・イ…

藤原さんと2

DAY29-2 美しい村連合・長野県南木曽町 町並み保存のパイオニア妻籠宿で学ぶ

長野県南木曽町(なぎそまち)にある妻籠宿は中山道の42番目の宿場として栄えた町。そしてここは、南木曽町が美しい村連合に加盟するはるか昔から、…

喜界島

DAY98 美しい村連合・鹿児島県 喜界島【前編】ノロ信仰、風葬、数々の民話、分断政治…隆起珊瑚でできた島で極上民俗ツアーを楽しむ

喜界島は奄美群島のうちのひとつ。鹿児島からはフェリーか飛行機の2ルートがある。しかし、今年は10月に入ってから季節外れの台風18号、19号が…

ページ上部へ戻る