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大前さんと小川さんと2

DAY41 美しい村連合・岐阜県下呂市馬瀬 日本一の鮎の村はフランスの地方自然公園制度をとりいれた、まるごと公園の村だった


下呂市馬瀬(げろし まぜ)は、旧馬瀬村。2004年の合併で下呂市の一部となりました。温泉街のすぐ脇にある下呂市役所を訪問。玄関の前には合併の石碑があり、その裏に、旧町村の人口の記録がありました。H16年当時、馬瀬村は1,587人とのこと。

下呂市合併の碑

人口は新下呂市の1/30にも満たない数でしたが、面積は結構あります。左が新下呂市、右はそのうち馬瀬村、現在の馬瀬地区となっている部分が黄色く示されたものです。馬瀬側沿いに、南北に細長〜い地形です。

下呂市位置情報下呂市馬瀬位置情報(出典:左右ともwikipedia)

美しい村認定理由

 下呂市の美しい村認定理由は「馬瀬川」と、「美輝の里」と記載されています。最近、自治体の方に時間をとっていただくのもご負担になるから、と、自粛モードだったのですが、さすがに認定理由が簡素過ぎて、これはちょっと助けが必要と、朝イチで押し掛け、担当の大前さんを訪問。馬瀬地域振興の部署は、下呂庁舎から車で約30分、旧馬瀬村庁舎の中にありました。

馬瀬出張所

突然にも関わらず、快くお話いただき、最近はいったばかりという、地域おこし協力隊員の小川さんまで呼んできてくださいました。小川さんは、もともと岐阜県民だが、地域関係の仕事で日本各地でお仕事をされていたそう。馬瀬村の地域おこし協力隊の募集がでて、実際に足を運び「ここや!」と思ったらしい。小川さんの「ここや!」ポイントは、何しろ美しい馬瀬川と、ザ・ふる里という感じの景観だそうです。

大前さん小川さんと(左:大前さんと、右:小川さん。この日は私の頭が爆発している)

地方自然公園の取り組み

お話を伺って、馬瀬村でもっとも特徴的だと思ったのが、「馬瀬地方自然公園」。
「この、自然公園って、どこにあるんですか?」と訪ねる私に。
「?」と、大前さん。「いやぁ、村全体が公園なんです。

私がピンとこなかったのも当然。馬瀬のこの取り組みはフランスの制度を真似たもの。平成16年から、住民も巻き込んだ委員会を立ち上げ、フランスの「地方自然公園制度」から学び、地域まるごと馬瀬地方自然公園づくりをしているということで、もちろん、公園法に基づく公園ではない。

馬瀬川上地区より
フランスの地方自然公園制度についてちょっと調べてみた。

  • フランス全土では、45の指定地方自然公園があり、総面積700万ヘクタール以上、国土の13%にあたる。3706市町村、300万人以上が域内に居住。
  • 自然や文化、人々が培ってきた豊かな資源の保全をが目的。自然保護のみを目的とし、経済開発をした国立公園と異なり、人々の居住する地域が、持続可能な発展を目指し均衡のとれた地域計画をたてる。
  • 田園地方にある居住地であり、世襲された財産として優れた自然景観を有す地域であることが条件。
  • 12年ごとに更新される地方公園憲章に基づいて効果的な国土管理を行う。

(参考:フランス観光開発機構

というわけで、馬瀬地区でも、住民憲章が作成され、それにもとづいた運営がされているとのこと。

 

まぜ健康農園@川上地区(かおれ)
さて、お話を伺ったところで、北からさっそく村散策。馬瀬村は南北に長く、10の集落からなっている。公園づくり委員会の発行するわかりやすい地図がある(↓)のだが、画像としてwebで拾えないのが残念。一番川上にあるのが、川上地区(かおれ)。
馬瀬集落マップ

ここでは、まぜ川上健康農園を訪問。HPに字がびっしり。ある意味、かなり意志を感じるHPである。しかも、採密体験ができ、更に「国内流通6%のセレブハチミツ」なるものをゲットできるらしい!6%が多いのか少ないのかの判断もままならない状況のまま、農園訪問。古田親子がお店で迎えてくれた。

まぜ産純粋はちみつ 

お父さんがブルーベリー農園、息子さんが養蜂という役割分担。採蜜体験は6月、ということで体験はさせてもらえなかったが、蜂のことについて、とても熱心に教えてもらうことができた。田舎の各地で目にする地場産蜂蜜。しかし、なんと、日本でハチミツからの収入のみで生きて行ける養蜂家は、片手に収まる数ほどしかいないらしい。いわば、彼らは蜂マスター達だ。蜂の気持ちを読み取り、世話が上手なため、たくさん飼えるというわけ。

お店の前で

しかし、その蜂マスター達も、もうご高齢だ。このままで養蜂の技術継承がなされないまま、消滅してしまう…ということで、県が養蜂家育成事業を実施。古田さんはそれに手をあげ、蜂マスターのところで修行を積んだそうだ。蜂の減少は、すなわち花粉媒介するものの減少であり、農作物の収穫に影響を与えるため、想像以上に重要な問題なのだ。

聞くところによると、養蜂家の修行の基本は「刺されて、学べ」。蜂の動きを観察し、ご機嫌を伺う。間違ったことをして、蜂を怒らせれば、刺されるのみ。まさに体を張って行われる。古田さんも、ちょうど唇を刺されてしまったばかりという。厳しい道は続く。
古田さん一般的に農家さんが片手間でつくっている蜂蜜はニホンミツバチの蜂蜜。セイヨウミツバチに比べて、1/6程度しか密がとれないが、性質が優しく扱いやすい。ただ、ニホンミツバチの蜜は「虫っぽい味」がする。ということで、古田さんが味見をさせてくれた。「どうぞ。指をズボッと!」と、巣箱から素手で出した鉢一杯の板を差し出す古田さん。…ぬぬっ!日本一周の志半ばに、アナフィラキシーショックで死ぬことはできない…。古田さんに蜂をよけてもらい、ペロリ。うむっ!確かにそういわれれば、ややクセがある。

蜂蜜試食農薬散布で蜂がドンドン死滅してしまうため、農村ではなく、山間地での栽培が適しているが、冬場は寒すぎるので、標高の低い関市で蜂を飼われている。2拠点居住だ。古田さんのお父様曰く、冬はTVの前と、トイレの往復。一日100歩くらいしか歩かない。が、夏場にここにくれば忙しい。ブルーベリーの手入れ等(無農薬なので非常に手がかかる)、自然に平均7,000歩は歩く生活になり、すこぶる体調がいいそうだ。自然の中で体を動かして、いいものを食べて、元気になる。それが、この健康農園という名前に込められた想いでもある。

美輝の里@西村地区
次に訪れたのが、かなり南の方に下った西村という集落。道の駅「美輝の里(みきのさと)」は、恐らく日本で最も小さい道の駅ではないか、とのこと。もともとあった産直に、県の補助金でトイレを整備して、道の駅として認定されたものだ。足湯もあっておすすめとのことだったので、訪問したが、残念ながら足湯は休業中だった。大人気の産直には、殆ど野菜も残っておらず、空っぽで、退散。

美輝の里からの眺望わかりにくいが、「美輝の里」とは、近くのホテル美輝の中にある温泉施設の名前でもある。ph9.98の高アルカリ温泉に心惹かれたが、循環・塩素消毒であるため、700円も支払って入るまでもなかろうと、断念。15種類も浴槽をつくれる湯量があるなら、源泉かけ流しの温泉にすればいいのに!と口惜しい。VIEW SPOTを発見し、駐車場から西村地区を撮影して、下に下る。

馬瀬川(天気が悪いのでよく見えないけれど、エメラルドグリーンの清流・馬瀬川)

水辺の館@西村地区

お腹が減ってきた。途中、荻原地区で、大前さんにおすすめいただいたスローフードレストラン橙(だいだい)に立ち寄ったが、こちらも残念ながら定休日。第2のおすすめだった、水辺の館に。馬瀬川の鮎は利き鮎大会でグランプリを受賞した、日本一美味しい鮎とのこと。川の中でなが〜い竿をもっている人を数えきれない程見かけた。

フィッシングセンターその鮎を堪能できるのがこの水辺の館。川を眺めながら外で食べることができて、いい雰囲気だ。ちょっと値が張る(一匹1,500円くらいします)けれど、鮎づくし定食を食べました。上質の藻を食べて育った鮎はまるで「スイカの香り」とパンフレットにある。うーん、どうかなぁ…(このあと行った、吉野町の鮎の刺身は本当にスイカの香りだった!!)。

鮎の塩焼きこの水辺の館では、ここ2年くらい、観光ヤナを復活させたそう(ヤナとは、鮎を獲る罠)。また火振り漁は、松明の火を振りながら水中に張った網に鮎を追い込んで獲る漁法だそうで、こちらも観覧可(日にちは事前に要チェック)。水面に火が映って綺麗そう。

ふれあいマップ
最近の取り組みとしておしえてもらった、このふれあいマップを手に、西村散策。これは地域の人の思い出を集結させた地図。「以前はここに井戸があって…」といったような、地元の方の場所にまつわるエピソードを聞き集め、マップに落としたものだそうこれをもって、現在の姿と比べながら、地域の方との交流を楽しみながら、散策を楽しみましょう。という主旨のもの。

馬瀬ふれあいマップ(出典:森林アカデミー

面白い取り組み!と思ってさっそく繰り出してみるが…意外とgoogle mapと道の整合性がとれず、苦戦。そして、現在に残っているものが少なすぎる…。せめて、目印くらいあるとわかりやすかったなぁ。最後に、ビニールハウスは発見できたので、名産というトマトを購入して、地元の方との交流をはかった。

馬瀬トマト

まとめ

日本の田舎をまわっていると、うちの村には「なんにもない」という人がたくさんいる。そして、事実、私たちも「なんにもないんじゃないか…」と思って大前さんに助けを求めたのだ。しかし、田舎には探せば探す程、面白いこと、文化、歴史が本当は色々ある。そして、時間をかければ色々な人がいる。「なにもないのがウリです。」なんて、胸を張って言うのは、謙遜なのかもしれないが、探すことを怠っている証拠。そう、教えてくれた村だった。ただ、馬瀬村では色々ありすぎて、情報がバラバラとでており、それを訪問する人に伝えきれていない嫌いがある。とってももったいない!情報発信だけでなく、情報整理することが課題かもしれない。

馬瀬西村地区からの眺望

※私たちの二の舞にならぬよう、事前に電話をかけてから訪問するようにしましょう!


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