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かましいりこ3

DAY38-1石川県白山市の重伝建・白峰地区(しらみね) – 独自の方言、ここにしかない雑穀「かましいりこ」そして、毎年の全戸掃除チェック


信仰の山・白山山麓の豪雪地区、白峰

重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)、白峰(しらみね)。古くは『牛首』と称し、現在は白山市に含まれるこの地域は、古来すさまじい豪雪地帯である。東半分は白山国立公園でもある。他所と隔絶された環境のせいか、白峰弁(ジゲ弁)という独自の方言を持つに至っている。例えば、男性の一人称は「ぎら」だ。また、周囲の国々が領有を主張した信仰の山・白山の麓にあったがゆえに、江戸時代には天領扱いとなっていた。とにかく個性的な山村である。

白峰の放水路1

用水路「ミンジャ」と流雪溝
白峰地区に向かう途中、目に入ってくるのはこの謎の建造物。ヨーロッパにあるような水道橋かと思うが、先から水が放流されている。

白峰の放水路2

ちょっと接近するとこんな感じ。かなり勢い良く流れております。調べてみると、これは「流雪溝」というものらしい。なんでも、白峰では300年ほど前に「ミンジャ」と呼ばれる用水路が地区に整備された。これにより地区の水道事情は大きく改善された。

今ではその役目を終えたミンジャが、融雪溝として利用されおり、その末端がこの特異な流雪溝なのだという。最近では、この水路を用いての小型水力発電も実験されているそうで、目立たなくなった今も地区の役に立ち続けている様子がうかがえる。

土蔵造りの「山岸家」

白峰が重伝建地区に指定されたのは、2012年のことだ。比較的最近ということもあって、現在のところ、観光順路がばっちり整備されているという感じではない。とはいえ、白峰の指定地区は徒歩で問題なく歩けるサイズで、ぶらぶらするにはちょうどいい。

白峰の地図

白峰の家1

家屋の特徴についてはよくわからないけれど、趣のある家屋がたくさんある。全てがそういった建物というわけではなく、今風(?)なものや、古びた昭和レトロなものと混在した町並み。写真は、白峰に現存する唯一の木羽葺き屋根家屋である、行勧寺庫裏。屋根にはあるのは、太鼓堂とのこと。

白峰・山岸家

地区でひときわ目を引くのは、山岸家。代々白峰の庄屋であったそうで、建物は築後200年経った現在も使用されている。なので、外からしか見学することはできないが、その迫力は往時の白峰を想像する助けになる。なんでも、敷地内には白州や牢屋の跡地もあるらしい。

はしごのある家

白峰で見かけた、かわいい梯子。いつから使っているのかな・・と思ってしまう年季の入りっぷりがいい感じ。

雪だるまカフェで遭遇した「五郎祝い」と「かましいりこ」

歩き疲れてちょっと休憩したいときにオススメなのが、こちらの雪だるまカフェ。明治初期の古民家を活用したカフェで、私たちが訪問した際も、地元の方々が楽しそうに車座になってお茶を飲んでいた。

雪だるまカフェ

店内では、名物のおろしうどんや、イチオシのぼたもちが味わえる。さほどお腹がすいていなかったので残念ながらぼたもちは諦め、「五郎祝いセット」と、「かましいりこ」を注文。

白峰のうどん

「五郎祝い」とは、土用(どよう)の日から5日目(これを五郎というらしい)の日のごちそうだったそう。ということで、そうめん、おろしうどん、油揚げ、つけものがセットになっている。当時からこういうセットだったのかどうかは不明だが、おろしうどんは辛味大根と油揚げがのって美味かった。

かましいりこ

「初見・初耳のものは、とりあえず試してみる」という信条に即して、「かましいりこ」なるものを注文。魚の煮干しでも出てくるのではないかと予想していたら、あらぬ方向のものが出てきた。謎の粉、お湯、砂糖である。これを練混ぜて食すのが、白峰伝統のおやつ「かましいりこ」である。

かましいりこ2

完成すると、こんな感じ。甘すぎないあんこのようなテイスト。お店の方いわく、小さい頃はこれが出てくるのが楽しみだったそうだ。そう言われて少しずつ口に含んで味わっていると、結構美味しいような気がしてくる。奥の方から穀物の滋味が湧き出てくる。

かましいりこ3

「これは何からできているのですか?」と尋ねたら、「裏庭に生えとるよ」と、そこまで連れて行ってくれた。これがその「かましいりこ」である。後日調査したところによると、アフリカ原産で、縄文時代に日本に伝わり、現代ではこの白峰だけで食されているとのこと。ほんとかね。ちなみに、栄養価は結構高いらしい。

白峰の堅豆腐

もうひとつ、ふらふら歩いていて見つけたのがこの「堅豆腐」。なんでも、縄で縛って持ち運びできるくらい固いらしい。まちなかにある「北野食料品店」にて、ひとつ購入してみた。

堅とうふ

写真では伝わらないけれど、それなりに固い。といってもハードなわけではなく、崩れにくいと言う感じ。味はちょっと濃厚な豆腐という感じか。かましいりこといい、うどんといい、白峰の伝統的食事(食材)は渋いがいい味を出している。町並みと食物が調和しているという不思議な印象を受けた。

100年以上続くという「全戸掃除検査」

独自の方言や食習慣を持つなど、極めてオリジナリティの高い白峰地区であるが、極めつけは「徹底した掃除文化」である。毎年行われる掃除検査では、担当者が家々をまわり、清掃状況ををチェックするという。合格すれば「掃除検査済之証」が玄関脇に貼られるらしい。かつては「不合格」の家は不名誉な「赤札」をいただく事態となっていたそうだ。なお、現在はレッドカードはなくなったものの、不合格の場合は当然ながら「証札」をもらえない。白峰散策の際は、ぜひそんなことを考え、玄関に表示されているユニークな屋号と、「掃除検査済之証」をチェックしていただきたい。(こ)


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