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大通り、車と白川郷

DAY38-2 噂では世界遺産取り消しの可能性も!?岐阜県白川村・白川郷を歩く(重伝建)


石川県白山市・白峰の次は、岐阜県白川村・白川郷へ。このルートでは、かの有名な「白山スーパー林道」を通る。

この石川県と岐阜県を結ぶ山道は、全長33.3km、最高地点1,450メートルの激しい道路である。景色は素晴らしいけれど、あまり脇見していると奈落の底に転落しそうになる。

白山スーパー林道

なお、白山スーパー林道は青森県にも同名の道があるからか、名称を変更するらしい。

「白山スーパー林道」に変わる新しい愛称が「白山白川郷ホワイトロード」に決定しました。来年からこの新しい愛称をよろしくお願いします。
―白山スーパー林道公式ホームページ

新愛称は字面がいまひとつだし、音としてもちょっと長いので、きっとしばらく”白山スーパー林道”と呼ばれ続けるのだろう。を走り終わってほっと一息、さらに少し走ると、そこは有名な「合掌造り」の白川郷の入り口。駐車場は平日にも関わらず、かなりにぎわっていた。

白川郷駐車場サイドの風景

さすが世界遺産。夏休みということもあるのだろうけれど、大型バスもたくさん。

白川郷の橋

新築合掌造りおみやげ屋が連なる駐車場エリアと、合掌造りの里・白川郷とを隔てる橋。ここを渡ると、白川郷(重伝建地区・荻町合掌集落)に突入。

白川郷・かき氷屋さん

噂には聞いておりましたが、おみやげ屋がたくさんあります。大型バスも次々にやってきているし、歩いていると東アジアの言語が様々聞こえてきて、賑やかな感じ。

白川郷の合掌集落の特徴を簡単にまとめておく。合掌集落を眺めると、茅葺屋根に目が行くけれど、特徴はそれが「合掌造り」であるということ。茅葺屋根の家は(トタンで覆われたりしつつも)日本各地にわずかに残っているものの、これほど巨大で、「合掌」の名の通り、両側にすっぱり落ちる屋根は珍しいそうです。

では、どうしてそういう家屋の形状になったのか。背景として平地の少なさが挙げられます。平らな土地が少ない(つまり田地・畑が少ない)がゆえに、農家の次男三男が分家することが難しく、長男一家を中心とした大家族がひとつ屋根の下で暮らす必要があった。それゆえ、20人程度が暮らせる大きな家屋が生まれ、かつ養蚕や豪雪に対応するために、急峻な屋根を設置することになったそうです。

和田家

白川郷最大の合掌造り、和田家。江戸時代の名主であり、かつ富山県の合掌造り集落・五箇山と同様に焔硝の製造・販売しており、大いに栄えたそうです。現当主が住まいとして利用されている現役の住居でありながら、一部を公開されています。白川郷に訪問された際は是非訪れたいスポット。(入場料大人300円)

和田家の欄間的なところ

内側もいいけれど、土蔵(?)のデザインも素敵。古い家屋は、本当に細かいところまで、依頼者の見栄(いい意味で)と職人のこだわりが詰まっている。

3つの合掌造り

奥の方にいくほど、静かになる白川郷。

茅葺きしなおした家屋

こちらは、ナショナルトラスト所有の合掌造り。数年前、白川郷の合掌造りが売りに出ていたのを目にしたことがある。確か価格は4,000万円くらいだった。うーん、ちょっとほしいな。だれでも一瞬はそう思うようにちょとだけ野心が湧いたが、クラウドファンディングで集められる額でもないし、厳密にはお金だけで買えるものではない。

などと思っているうちに、ナショナルトラストが購入したのであろう、今度は「茅葺きのお手伝い募集」という記事を見た。運悪く台風が重なって、その茅葺きは中止となってしまったが、こうして保護されて守られている茅葺き家屋を見ると、ちょっとうれしい。

大通り、車と白川郷

ナショナルトラストのように、なくなったら取り返しがつかないものを懸命に守ろうとする動きがある中で、白川郷の商業化を懸念する声も少なくないという。白川郷にやってくる前に入った近くの食堂では、「実は白川郷は、世界遺産の暫定リスト入りしているんだよ」という話を聞いた。観光客増加にともなって、あまりにお土産屋等が増えたことで、景観が損なわれているという指摘があるという。いくつかのWEBサイトでも、同じような噂を目にした。

また、これは世界遺産とは別の話であるが、白川郷を含む白川村は「日本の美しい村連合」から2014年に脱退している。これは事実だ。色々と背景について各方面から話を聞いたものの、まとめると「外部の助けがなくても、白川郷はやっていけるから」ということであるようだ。世界遺産も同様、というお話もあった。

趣旨には賛同したが、加盟町村の活性化や企業誘致など、期待した費用対効果が得られなかった
―岐阜新聞WEB

白川郷が今度どう変化していくかはわからないし、住民でもない私たちがとやかく言うことではない。おみやげ屋がどれだけ増えようと、大型バスは白川郷を目指してやって来続けるだろうし、それを喜ぶマスツーリズムの受益者も、日本に限らず数多くいるだろう。

個人的にはずっと静かで、地区内を車がぶんぶん走っておらず、「群」や「面」として楽しめる五箇山(特に相倉集落)のほうが好きだけれど、それはうまく住み分けができているということでもある。長野のスノーモンキーのように、「日本の原風景・白川郷」と国内外にメッセージを届け続け、マスに訴求する白川郷の役割も、もちろん重要だ。ここを訪問したことがきっかけで、町並みや景観に関心を持つようになった人も少なくないだろう。ということで、今後とも白川郷の動向は要チェックである。(こ)


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