© coinaca/コイナカ All rights reserved.

曇の美濃町

DAY43-1 重伝建・岐阜県美濃市美濃町(上有知)を歩く。台風接近中のため水琴窟は封印、代わりに流しソーメンと出会う


岐阜県は美濃市、美濃町。「うだつがあがる町並み」として知られるこの地区は、1999年5月13日、商家町として重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定された。どれほどうだつがあがっているのか。それを確認しに、「台風接近!」を繰り返すラジオ(聞くのが日課)を振りきって我々は現地へと向かった。

曇の美濃町

曇りも悪くない。美濃町の伝統的な町並みの向こうに山が見えるのが美しい。

なお、美濃町は古くは上有知(こうずち)と呼ばれた。この町は大名・金森長近によって400年前に作られたという。町割りは非常に特徴的で、通りが「目の字型」となっている。迷うことはまずない。

また、長良川沿いに位置している。そこにはかつて上有知湊(こうずちみなと)があった。豊富で綺麗な水が近くにあるということもあり、和紙も盛んに製造された。「美濃和紙」と言えば、聞いたことがある人もいるかもしれない。東海人だけかもしれないけれど。

美濃町のうだつ

これが「うだつ(卯建)」である。これでもかというくらいにほうぼうの家で、うだつが上がっている。もともと防火用に壁を高くしていたのが、いつしかお金持ちの象徴となり、こぞって屋根にうだつを上げるようになったとか。しかし、初期のうだつでさえ、本当に防火に役だっていたのかは分からない。専門家の意見をうかがってみたいところだ。

うだつ・クローズアップ

クローズアップされたうだつである。この時我々は重伝建初心者であったため知らなかったのだが、うだつにも色々ある、ということを後に思い知ることになる。

詳細は四国編に譲るが、例えばこんなものもある。大きく分ければ、屋根の末端から頂点にかけて、うだつが走っているもの(美濃はこれ)から、一階と二階の間をつなぐようにうだつが上がっているもの(徳島県美馬市脇町が代表)の2つかと思われる。

二重卯建

貞光の二重卯建―つるぎ町WEBサイトより

際立って派手なのがこれ。徳島県つるぎ町、貞光の二重うだつだ。もはや防火はあまり関係がなさそうだ。しかし、実に見事である。

商家の旦那

商家の旦那になりきるなどして、雨宿りがてら散歩する。この家屋は、旧今井家住宅といって、美濃市の所有物である。入場料を払うことで内部を見学することができる。水琴窟が有名らしいのだが、台風が接近するため厳重に蓋によって保護されており、その音色を堪能することは叶わなかった。

そうこうしているうちに、不思議な古民家を見つけた。

美濃の家

それが、「美濃の家」である。

流しソーメン

外から眺めていると、何やら流しソーメンをやる気配である。熱い視線が伝わったのか、作業をしていた方が「中、よかったら見てみます?」と声をかけてくださった。

美濃の家・石川さん

それが住人の石川さんである。少数精鋭のデザイナー・スクールに所属している石川さんは、所有者(別のところに住んでいる)から古民家を借り、掃除や修繕をしながら生活し、作品の制作やイベントを実施されている。今回の流しソーメンもその一環だ。

美濃の家

石川さんに古民家の内部を案内していただく。おそろしく細部に色々な細工がしていあるし、蔵書もそのまま残っていて、非常に興味深い。

写真で紹介するのは控えるが、前述の旧今井家住宅とは異なり、「人が住んでいた」濃い空気を十分に浴びることができた。しかし、それらを発見・解読し説明する石川さんも相当な通である。

美濃の家

我々は、今日中に近江に到着するよう、台風に突っ込むように西に向かってに走らねばならない。

もう少しで開幕しそうな流しソーメンに後ろ髪をひかれつつ、美濃市美濃町を後にし、東近江・近江八幡へと向かった。

釣具屋

素敵な釣具屋にも、大いに後ろ髪をひかれた。


キーワード,



関連記事

中村のお父ちゃんと

DAY4 美しい村連合・山形県飯豊町 ホストファザーは森の人間国宝、現役マタギの古民家ステイ

飯豊町にきたら、農家民宿はMUST VISIT。4日目は、朝から移動のつもりが、ホストマザー&ファザーであるマタギの中村さんのお話が…

京極町_男爵の花

DAY11 美しい村連合・北海道京極町 自分たちのために美しい町を守る 羊蹄山麓名水の町のシンプルなチョイス

京極町の魅力は至ってシンプル。なんといっても羊蹄山麓の名水。そして羊蹄山をバックにした美しい農村風景にある。 日本の湧水百選にも選ばれてい…

昔の小坂町

DAY7 美しい村連合・秋田県小坂町 生きた没落の歴史と底力を語る町、もっと語ってほしい町

小坂町は、他の美しい村とは一風違った町である。美しい村連合加盟村には、それぞれ加盟理由というのがあり、一般的には自然や農村の営み、史跡やお祭…

メジカの刺し身

DAY73 重文景観・高知県中土佐町の久礼大正町市場でメジカを食す(夏季限定)

高知(土佐)といえば、たんまりと薬味がのったカツオのタタキであるが、少し足を伸ばした中土佐町でちょっと変わった魚が食べられると聞き、足を伸ば…

おばばのお話

DAY93 美しい村連合・宮崎県椎葉村 クニ子おばばと不思議の森へー大切ななにかを思い出せる場所

「クニ子おばばと不思議の森」というNHKスペシャルの番組を見て以来、いつかは訪問してみいと思っていた村、宮崎県 椎葉村(しいばそん)。宮崎県…

ページ上部へ戻る