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田尻家

DAY56 美しい村連合・兵庫県香美町小代地区 99.9%の国産黒毛和牛はここから生まれた!和牛のふる里の人々は温かく親切だった 


美しい村連合 兵庫県 香美町小代(おじろ)地区。ここは珍しく、地域自治区単位で連合に加盟している。2005年の3町合併(美方町、村岡町、香住町)での香美町設立を機に地域自治区となったらしい。合併時当時の地区人口が約2,500人程度(2005年国調推計人口)。

町としては日本海にも接しているが、小代は町の南野、山の谷間に位置している。

香美町位置(出典:wikipedia)

“自治区”というと、独立を目指している地域かのような印象を受けるのは私だけだろうか。知らなかったが、日本でいう地域自治区というのはきちんと法的な根拠をもって設立されている。市町村長の権限を一定程度各自治会長に委譲し、よりよく住民の意見を反映させるシステムらしい。調べてみると殆どの都道府県に存在している。

多くは平成の大合併で、旧自治体のアイデンティティを失ってしまうことを危惧して設置されたという経緯があるようだ。合併で交付税は減る一方、事務は減らないとなると財政的に厳しいのでは…などと考えてしまうが、どうなのだろう。面白いコミュニティのあり方なのかもしれない。要調査だ。

香美町地図(出典:香美町観光協会)

残酷マラソンと但馬牛
さて、つい前置きが長くなったが、小代地区で有名なのが、みかた残酷マラソン但馬牛。残酷マラソンは、1993年から始まり、毎年6月に開催しているレースで、アップダウンが激しい(高低差約400m)小代の山道を走るためその名がついたそうだ。小代内の22地区が子供から大人まで、地域総出で協力して、各ポイントで食べ物や飲み物を準備する、温かいおもてなしが特徴でリピーターが多いらしい。

オジレンジャーや、全く美しくない美しい村のフラッグ等、美しい村としてのセンスは疑われるが、そのような、住民の温かい心が美しい村選定の決め手となったようだ。
オジレンジャー
美しい村フラッグ
観光協会兼但馬牛ミュージアム
そしてもう一つ、小代を特徴づける但馬牛(たじまうし)。なんと現在、日本に存在している黒毛和牛の99.9%が、ここで生まれ育った但馬牛の血を引いているという!その、全ての黒毛和牛の父と言われているのが「田尻号」。
田尻号小代観光協会の一角がミュージアムとなっており、簡単ではあるが、但馬牛や畜産について学べるパネル、資料、紙芝居等の展示がある。この地域では、決して昔から畜産が栄えていた訳ではなく、昔は「一頭飼い」といって田畑を耕すために、一家に1〜2頭、玄関横で飼っていたものらしい。

そのうちの一頭、田尻号が当時の兵庫県の農政課の方の目に留まり、高い評価を得て、その後、量産される際の基礎種として採用されることとなったそうだ。

昔の農耕風景(出典:小代観光協会展示パネル)

現在でも高級な神戸牛、松坂牛は、ここで生まれ育って、買われていく。関係ないけど、この表を見ると、良い牛=脂肪が多く、肉付きのよい牛(太った牛)ということになる。飼料や、味、食感についての軸はなく、非常に単純に見える。一概に、高い肉=おいしい肉とはいえないなぁ、と、赤身のが好きな私は妙に納得。
神戸牛と但馬牛
すっぽん養殖場見学
町を散策に行く前に、観光協会の横で気になったスッポン養殖場を覗いてみた。ちょうど管理人のおじさん(工場長!?)がいて、説明をしてくれた。ここは、昔温泉が出たために、高い水温で育つスッポンの養殖をし始めた。が、年々湧水量が減ってしまい、現在はやや水温が低くてもよく、育てやすいチョウザメを飼育しているのだとか。おぉ〜、よく見ると、大きなプールにうようよチョウザメが泳いでいる!この町では、予約しておけばチョウザメが食べられるお食事処もあるそうです。スッポン養殖場
細々と1槽だけスッポンも健在。チョウザメの孵化技術は難しく、養魚を購入する必要があるそうだが、スッポンは増やせるからだそう。赤ちゃんスッポン、かわいい^^

おじさん曰く「今日はこれから外国人のボランティアが、水槽を掃除しにきてくれる」という。国際NGOが日本の農村に、各国から学生を派遣するプログラムを実施しているのだ。私も学生の頃、海外ボランティアによく参加していたが、受け入れ側から見ると、まぁこんな辺鄙な田舎に外国人が登場して、なんだか面白い。帰りがけに車の窓から、ブロンドの女の子が長靴を履いて歩いているのが見えた。

赤ちゃんスッポン
うへ山の棚田
マラソンコースを車で走行してみる。が、本当に残酷な坂道続きである。コースの途中、美しい棚田が登場して目を楽しませてくれたりする。こちらは中でももっとも有名なうへ山の棚田。整地されていない、くねくねの地割りが綺麗!!…が、とにかく私なら絶対に走りたくない。
うへ山の棚田
残酷マラソン最高地点の吉野滝キャンプ場コテージ村から町を一望。「小代」の由来は「小」さな「田んぼ」だという説があるほど、稲作も盛んで、谷の両斜面に隙あらば棚田。
最高地点
最高地点
但馬牛発見!
昔のように各家庭に牛がいることはないが、小代地区では現在でも20軒程の農家が牛を飼っている。といっても、山の中で放牧しているので、よほど注意してないと見つけるのは難しい。私たちは運良く、一頭の黒い塊を草むらで発見!!じっと覗いていると、牛も気がついて、なぜか仲間達とともにどんどん、駆け寄って来る!たくさんの牛に出会えて嬉しかったものの、十勝花畑牧場のリャマの痛いしうちを思い出して怖くなり、距離を置いてそっと立ち去った。
但馬牛発見
田尻家訪問
但馬牛発祥の地、つまり、田尻号を飼われていたお家が残っているというので、わかりにくい観光地図だけを頼りに、狭い道を探しまわる。諦めかけたその時、ようやく見つけた農作業中のおばあちゃんに尋ねると、本当に偶然!そのおばあちゃんこそ、田尻家の方であった!!

事情を話すと、おじいさんを紹介するからと、お家まで連れて行ってくれた。田尻号は、この玄関の右側のスペースでそだったのだとか。ご主人は腰を悪くしてしまったため、今ではもう牛を飼っていないのだという。が、たま〜に、私たちのように、但馬牛のふる里を探し求めて尋ねてくる物好きがいるらしい。田尻さんち

町の観光マップも、記載するのであればちゃんと表示をつくっておかなくては、田尻さんに迷惑がかかるのでは…(迷惑をかけている本人が言うのもなんだけど…)。せっかくなら整備したらいいのに。

近所のおばちゃんたちも、とっても親切で楽しい方ばかりだった。田尻号もこの優しさの中で大切にそだてられたのだろう。そして残酷マラソンでもこのホスピタリティが発揮されるのだろう、と納得の温かさがあった。お土産に、チョコレートとゴーヤまでいただき、田尻家を後にする。
田尻家
ランチ@石楠花
観光協会で伺ったところ、但馬牛を提供することができるお店(仕出し屋など含め)周辺では色々あるようだが、皆、事前予約が必要。せっかく但馬牛をウリにしているのに、ややもったいない。食肉用ではないから仕方ないか。

注文なしで食べられるのはここだけとのことで、昼には観光協会に併設されているレストラン 石楠花(しゃくなげ)に戻って来た。但馬牛の焼き肉定食と迷ったが、牛丼を注文。ボリュームたっぷりで満足のコストパフォーマンスでした。
牛丼※ちなみに、前日の夜、小代の隣、村岡地区の道の駅で但馬牛のハンバーグを食べたが、こちらは価格の割りに普通のお肉な上、食べ放題のサラダが切れていたので、石楠花のがおすすめです!村岡は、食事よりも、村岡温泉が源泉かけ流しで非常によいです!!

まとめ
「和牛のふる里」という強力なコンテンツを持っていながら、食べられるところや、牛を見られるところが限られており、もったいないという印象を受けた。食肉加工をするのは神戸や松坂だから仕方ないのだけど、せっかくよい牛がいるのになんだか悔しいところだ。

それから、残酷マラソンのコースは小代の名所を巡るコースとなっているとのこと、そのコースを一般にも紹介してもらえたら…と思うが、公表されているのはこの不明瞭なマップだけと、こちらも惜しい。カーナビに入力できるよう、住所だけでも記載してもらえると非常に助かる。
残酷マラソンコース美しい村加盟を機に、キャラクターやフラッグの整備より優先して、観光地図の整備が期待されるところだ。

  • 小代観光協会(レストラン石楠花も併設)
    (観光協会も3つの地域自治区にそれぞれあるので注意!)
    兵庫県美方郡香美町小代区神水739-1

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