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西蔭さんのお家の前で

DAY68 美しい村連合・徳島県上勝町 葉っぱビジネス、ゴミゼロ運動、輝く新星ポールスター 話題の町で幸せオーラに浸る


上勝町は、かの有名な葉っぱビジネスの町。人口約1,600人、高齢化率は約50%(2014年10月現在)。前日に訪問した神山町と同じ徳島県内にあり、地図上はごく近く見えるが、実際は違う山で、それも1,000級の山々に囲まれているので、いったん山を徳島市まで下ってから、またくねくね山道を登って行かなければならない。

上勝マップ(出典:朝日新聞)

いろどり訪問
いろどりは、1986年、もう30年も前に、農協出身の横石氏によって、設立され、日本料理に彩りを与える「つまもの」のお花や葉っぱを栽培するおばあちゃんたちと、市場をつなげる仕組みをつくった会社だ(詳しいストーリーは当社ウェブサイト参照)。2010年に映画にもなり、新聞やTV番組で多数取り上げられているので、知らない人はいないかもしれない。今回は、その㈱いろどりを訪問してお話をお聞きすることができた。

いろどりシステム

いろどりは、全国40市場からのつまもの需要を情報整理し、毎朝9時に発注。おばあちゃん達はその発注状況をPCやタブレット端末で確認し、自分が出荷で きる種類のはっぱを受注するシステムを開発し、運用している。まず、「つまもの」需要に目をつけ、それまでにはなかった市場をつくってしまたというところが、そもそも農協出身の横石氏ならではの視点である。高齢者とタブ レット端末。過疎化や高齢化対策として、国も企業も普及させようと試みていながら、やはりなかなか操作が難しく、実現しなかったのが現状ではないだろうか。しかし、なんと、いろどりでは、タブレットやPCを駆使し、稼ぐおばあちゃんの中には年収1,000万円という方もいるそうだ。

月ヶ谷温泉いろどりの事務所は、この月ヶ谷温泉の一角

いろどりでは、おばあちゃんたちがデバイスを使えるようになるために、決して特別なトレーニングを施したわけではないという。では、どうしたのか?答えは至って単純。おばあちゃんたちの欲しい情報を表示するようにすること。つまり、おばあちゃんたちは、タブレットをつかいこなし情報を的確に得ることができれば、その分儲けがでるので、自然とドンドン覚えてしまうというのだ。インセンティブの設計が鍵を握っていた。

いろどり出荷箱

インセンティブという点で、更に重要なのが、売り上げの順位発表をしていること。自分の売り上げが今月何番だったのか。「●●さんには負けたくない!」という、田舎ならではのプライド意識が、井戸端会議を飛び出して、健康な競争心となって働いているらしい。その証拠といえるかどうか。なんと、2つあった老人ホームのうち、町営のものは廃業してしまったそうだ。

また、代表の横石さんは、消費者のためではなく、働いているおばあちゃん当てに、社長ブログでつまものや物販の販売状況など、毎日欠かさず発信されているとのこと。これもおばあちゃんたちの楽しみのひとつ。自分たちの商品が、料亭でお刺身の下にしかれているのを見たりして、そこから刺激を受けて、商品をさらに工夫してみるといった循環が生まれているようだ。かなり地道な、しかし着実なケアで、モチベーションを高めている。

西陰さん
とはいえ、ギスギスしてしまいそうだが….という懸念は、西蔭さんにお会いして晴れた。西蔭さんは月数十万稼ぎだすやり手メンバー。いろどりをとても楽しんで続けられており、この道18年!もともとご主人の盆栽用だった木を庭木にして、現在では100種類くらいのつまものに対応できるようになったという。

感想ノート
いろどりの取材で訪れる人たちが後を絶たない西蔭さんのお宅。訪問者が書き連ねたメッセージノートが何冊もある。訪問した人の出身地をシールで張って行った日本地図は、もう、多過ぎて手に負えなくなり、放置気味だ。なんせ、海外からも視察がくるため、日本地図じゃなくって、地球儀が必要なのだ。西陰さんは、こうして、いろどりを通じて色々なお客さんを迎えられるのも、楽しみにされているとのこと。本当に、イキイキしていて、元気だ。TVはやらせじゃなかった。

西陰さんとこのマップ
今回ご対応くださった大畑さんは、なんとこんなに若くして取締役!もともとは途上国の開発等の分野で社会の役に立ちたいと、イギリスで国際協力の勉強をしていたが、より「自分ならではの道ってなんだろう」、と考えるようになり、自国の抱える課題に挑戦しているいろどりに就職を決めたのだそう。そんなグローバルなバックグラウンドをもちながら、地元のおばちゃん達には非常に滑らかに溶け込んでいる。根底にある優しさのなせる技であろう。

西蔭さんのお家の前で
樫原の棚田
上勝町の美しい村ポイントは、いろどりビジネスと、樫原の棚田。上勝町にはいくつか棚田がありますが、日も暮れ始めていたので、最も有名な樫原の棚田へ。ビューポイントには水車があり、車が止められるようになっている。出発した頃は東北で田植えの直後だったのに、もうこんなに黄色く色づいて、いかにも稲穂が重たそう…。ぽこっと飛び出だシェイプがかわいい棚田。樫原の棚田
殆ど影に隠れて、暗くなってしまったけれど…降りる道から八重地の棚田や、一宇の棚田も遠目に望むことができた。山の夕暮れは早い。

八重地の棚田
polestar
さて、上勝を後にする前に立ち寄ったのが、ポールスターというカフェ。上勝町出身の東輝美さんが、お母様と一緒に描いた夢のカフェだ。とっても素敵な場所で、メニューも極力地元産のもの。なければ徳島産のものというこだわり。

ポールスターランチ
上勝町はいろどりの葉っぱビジネスと共に、ゼロ・ウェイストの活動でも有名な自治体。ゴミを24ものカテゴリーに分別し、できるだけリサイクルに回す。焼却炉をもつ財政的余裕がなかったために苦肉の策として始まったというのが舞台裏の事情ではあるそうだが、それをポジティブな方向へ切り替え、村全体を巻き込んだムーブメントにしたのはすごい。

ポールスター店内実はランチもここで食べたので、写真はお昼のもの 笑 夜はどうしてもポールスターカレーも食べたくて再訪したのでした。

カフェをオープンする前に急逝されてしまった東さんのお母様は、元上勝町の職員さんで、ゼロ・ウェイストの実現に尽力された方。その精神をしっかり受け継いで、polestarもひとつひとつ、ゼロ・ウェイストに向けた取り組みを積み重ねている最中だ。メニュー

トイレの「ハンカチを持つって素敵じゃないですか?」という提案、メニュー下のさりげないゼロ・ウェイストのコメント。ここに立ち寄れば、上勝の徹底したゼロ・ウェイストぶりを、ちゃーんと感じられる空間になってます。

ポールスタートイレ
ポールスターは、ただのカフェじゃない。人が集い、これからの上勝町のことを議論したり、発信していく場でもある。その取り組みのひとつとして、100年後もつづく上勝町を考えるため「上勝百年会議」と題し、月1ペースで全国から先進的な取り組みをしているゲストスピーカーを招いたワークショップを開催している。

カフェポールスター
東さんのパートナー、都会っ子の松本さんは、今の落ち着き払った様子からは想像しがたいが、移住当初は、考えてみたこともなかった田舎暮らしに四苦八苦だったそうだ。東さんに課題を伺ったところ、まだまだ「ただご飯を食べに来る」だけの人もいて、食堂みたいに使われてしまうのが寂しい。どうやって想いを伝えて行けるか…でも、そんなときは「母だったらなんて言うか、って考えてみるんです」と。まっすぐな、若い二人の姿が印象的。

東さん松本さんさんと
今回は都合があわず訪問できなかったけれど、町の方曰く、シェア・カフェもイチオシとのこと。シェフが日替わりで色んなお料理が食べられるんだそうです。是非、次に訪問するときは行ってみたい。その他にも、リサイクル品を扱うお店や、天然酵母のパン屋さんなど、行ってみたいところがたくさんあった。上勝町はけっこう広い上に、集落が点在するので中心部がわかりにくいが、もし、上勝町に行くチャンスがある方は、まずは迷わずカフェ・ポールスターへ。上勝町の情報誌等、一通りがここに揃っているし、聞けばきっとよいアドバイスをくれると思う。

上勝町マップ(出典:上勝町商工会

まとめ
上勝町はゼロ・ウェイストやいろどりの取り組みが有名で、視察が絶えない町なのではないかと思う。が、棚田もきれいだし、おばあちゃんたちもとってもフレンドリー。Iターン者も多く、元気な町でもある。視察で一端を見て帰ってしまうでは、実はもったいない町。polestarの登場で、もっとゆっくり、上勝時間を楽しめる、訪問して楽しい町に変身し始めているのではないか。そうなるといいな。幸せそうに頑張っている、応援したくなる人がたくさんいる町でした。

 

  •  いろどり(月ヶ谷温泉)
    ↑ 創業ストーリー、ぜひお読みください!すごいです。
    徳島県勝浦郡上勝町大字福原字平間71-5
  • フナトト(火曜定休)
    徳島県美馬市脇町大字脇町15

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