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棚田展望台

DAY71 美しい村連合・高知県 本山町 日本一おいしいお米が育つ広大な棚田とエメラルドグリーンの汗見川


四国に来てからお話する方と、これからの行き先の話題になると「本山町行くんですか〜、面白いですよ。」と何人かに言われた。人気上昇中のようだ。期待を胸に本山町へと向かう。

朝食@レイホクファーマーズカフェ
アポまで時間があったので、まず朝ご飯。「さくら市」という町の中心部に位置する産直らしき建物の中にあるパン屋さん。イートインスペースもあり、セットメニューもある。なんでも、パン激戦区である東京 世田谷で営業されていたサクラペーカリーが、移住してオープンされたお店とのこと。すべて天然酵母、地元の小麦粉を使ったこだわりパンだ。田舎では、道の駅の産直以外に朝早くからオープンしているお店など皆無といってよい。朝7時からパンとおいしいコーヒーで1日をスタートしたのは北海道ぶりだ。

さくらベーカリー

本山町役場訪問
腹ごしらえを終えたところで役場訪問。と、ここで、どうでもいいことだが、車の走行距離メーターが99,999kmを指していることに気づく!10万kmに変わる瞬間を見ようと、ハラハラしながら役所まで車を走らせるが、10万kmにリーチする直前で駐車場に到着。今回は4ヶ月間車をリースで借りての日本一周。借りたときには86,826kmだったから、ここまで13,000kmあまりを走ったことになる。

車のメーター残念ながら、役場を出る頃にはすっかりメーターのことを忘れて、気づいたら10,002kmになっていた…

今回ご対応くださったのはまちづくり推進課の大西さんと、秋山さん。秋山さんはUターンで役場に就職、地元FMで本山町PRもされるなど、町の情報発信を積極的に行われている方。さすが取材慣れしておられます、テンポよく町紹介をしていただき、棚田案内までしていただきました。

本山町について情報収集していた際、興味深かったのが、「本山町」というよりは「嶺北(れいほく)エリア」一帯となって地域のPRをしているところだった。本山町、大豊町、大川町、土佐町の4町村は観光マップも一緒につくっているし、NPO法人れいほく田舎暮らしネットワークという団体が活発に活動しているようだ。色々な町を回っていて、行政単位をまたいでの連携の弱さに辟易とすることが多い中、こうして地続きになっているエリアをまとめて紹介してくれているのはとても助かる。

れいほくマップ(出典:れいほく田舎暮らしネットワーク

上の地図で真ん中を通る川が四国三郎 吉野川。へんてこな名前でかわいい。が、そのイメージに反して、日本三大暴れ川で、坂東太郎(利根川)、筑後次郎(筑後川)に続いての、四国三郎吉野川らしい。古来より、この吉野川の水運を利用した林業が盛んな地域だったために、自然と横のつながりが生まれていったのだろう。現在でも本山町と土佐山町にまたがって、四国で最も大きな早明浦ダム(さめうら)があり「四国の水瓶」と言われているそうだ。

本山町をざっくりとらえると、真ん中に吉野川、北が森林地帯(白髪檜という檜が有名。大阪の檜橋はこの檜を使ったもの)で、南が棚田。本山町の美しい村認定理由も、ちょうど北側の汗見川と南側の棚田となっているので、ぐるりと散策することに。

吉延の棚田
町の南側の棚田地帯のひとつ、吉延の棚田に秋山さんの車で案内してもらった。200戸中3~4戸を抜かして殆どが農家さんというこの地域、谷の両側がずーっと棚田になっている。写真に撮りきれないけれど、これまで日本各地で見た棚田とは、比較しようもない規模だ。

棚田展望台
棚田用の展望台まで用意されている。5年前から田んぼアートに取り組み始め、それを見るために設置されたそうだ。田んぼアートとは、黒、赤、紫、緑、黄など、食用とは異なる稲を組み合わせて、田んぼをキャンパスに絵や文字を描くこと。食用のものと混ざってしまうからということで、既に刈り取られてしまってましたが、なんか見えます!笑

田んぼアート
美しい村連合加盟により、観光客が増加したということは特段ないけれど、地元の方々が外から「見られる」という意識が生まれてきたことが大きな変化だったという。この展望台も、そういう意識から地元の方が自発的につくってくれたものだし、田んぼアートの一反も「町のために」と無料で提供してもらっているそうだ。

これまでは、むしろ生産効率の悪い棚田はマイナスにしかならなかったものが、美しい風景として客観的に評価され、農家の方がこの景観を維持する意義を感じてくれているそうだ。更に、美しい村連合の承認は6年毎に更新があるため、継続的に景観美化の取り組みを続ける動機付けになるのではないか、と、考えての加盟だったそうだ。美しい村ブランドを戦略的に活用されている好例である。

土佐天空の郷
この棚田。ただ広いだけではない。平成22年にはお米日本一コンテストにて、西日本で初めて日本一の評価を獲得したブランド米「天空の郷」を生み出した棚田なのだ。後継者不足で耕作放棄地が増加するのに危機感を持った地元の農家の方で「本山町特産品ブランド化推進協議会」を立ち上げ、研究を重ねて編み出されたブランドだ。なんと、室戸岬のミネラル分豊富な海洋深層水を稲に散布してつくっているのだそうだ。吉延の棚田

そうやって大事に収穫したお米を、さらにふるいにかける。昔からこの棚田でつくられるお米は粒が太いことが自慢だったらしく、1.8mmの太さがあり、また黄金色に光る米だけを選別し、ようやく出荷できるそうだ。選別されて、惜しくもブランド米になりそびれてしまった棚田米を活用して、今年の春から、新たに米焼酎が開発され、「本格焼酎 天空の郷」という名前で販売している。ちなみに、本山町の人はめちゃくちゃお酒を飲むらしい。本山町だけでなく、高知一般で「箸拳(はしけん)」という箸の数当てゲームで負けた方がお酒を一気飲みするというお座敷遊びが、未だに繰り広げられているそうだ。

秋山さんと「お酒強いんですか?」と聞くと「普通です」と秋山さん

また、こんなに広大な棚田だが、全て県のエコファーマ認定(土づくりや減化学肥料、減農薬など環境に配慮した農業者)を受けた農家さんだということからも、気合いのほどがうかがえる。せっかくなら、この棚田の風景を見つつ、炊きたてご飯を食べられるご飯カフェなんかがここにあったら言うことなしだけどぉ〜!それはないので、そのお味の程は、私もまだ確かめていない。

汗見川(あせみがわ)
次に北の森林エリアへ、汗見川を見に行きます。吉野川に流れ込んでいる汗見川。吉野川にはダムがあるため水が濁っていますが、汗見川はその支流なので、濁りがなく、ものすごい透明度だ。この日は天気が悪かったが、それでもこれだけ綺麗なんだから、晴れたらどんなに美しいだろう!

汗見川フェンス
と、言いたいところなのだけど、その汗見川沿いの道路には、ずっと、このフェンスが続いていて、残念ながら車からはこの美しい川を見ることができない。これは本山町だけでなく、各地で言えることだけれど、フェンスやガードレールによって、どれだけ視界にはいる景観が邪魔されていることか。確かに落ちたら危ないけど、、、地域の宝を無駄にしている。かなり勿体ない。

汗見川
ようやく上流の方(清流館の少し手前くらい)まで登って、川辺に降りられるスペースを発見。汗見川できれいだったのは、水だけじゃない。なんとなく、護岸の石が美しいのだ。川辺に降りて見てみると、色々な種類の石がある。後から調べてわかったことだが、この辺りは三波川帯(さんばがわたい)という地質で、「変成岩の変成する様子が下流から上流にかけて観察できる世界的にも珍しい場所だ」ということだ。詳しくはわからないけれど、石ができるときにかかる圧力や温度の変化が独特な層で、汗見川にはこの白い筋が入った石が多いようなのだ。

汗見川の石
「持ち帰らないでください」と書いてあったから、ある程度価値があるものとされているのだろう。綺麗な石を集めるうちに、石投げに夢中になり、しばし、童心に帰って石を投げまくる。

石投げ

早明浦ダム
腕に痛みを覚えて我に返り、石投げを辞めて、また町の中心部の方へ。そろそろランチタイムだ。ここまできたので、ついでに四国の水瓶、早明浦ダムを見学。ダムの足下まで車で行くことができる。

早明浦ダム上も横切ることができる。車を降りて下を覗くと、足がすくむほど高い。

早明浦ダム
ぽっちり堂
ランチは古民家カフェのぽっちり堂へ。ウェブでも評価が高かったし、前出のれいほく田舎暮らしネットワークの仕掛人のひとりがやっているカフェと聞いて、お隣の土佐町ではあるけれど、お邪魔することにした。が、しかし!ぽっちり堂は閉店してしまっていた…。無念。やはりどんなお店でも事前に電話確認が必須である。

ぽっちり堂確かに雰囲気がよさそうなお店で残念…

与作で牛丼
仕方ない。さんざんお米の話も聞いて、お米を食べたい気分だったし、この辺りの名産の一つである、土佐赤牛の牛丼が味わえるという、道の駅併設の与作で軽くご飯を済ませることに。甘口でけっこう濃い味付けの牛丼で、牛自体の味はよくわからなかったけれど…。

土佐赤牛
JOKI COFFEE(ヨキコーヒー)
マスターの大下さんが地域おこし協力隊のOBと聞いて、JOKI COFFEEにもお邪魔した。もともとmontbellの店舗だったというログハウスを改装したというだけあって、山小屋みたいな雰囲気が素敵だ。テラスの席もあるし、子連れならゆっくりできるお座敷の席もある。絵本もあって、ママたちが集まっていた。

JOKI COFFEE
窓から見える吉野川もいい。吉野川はダムができたために、濁ってしまったというマイナス面がある一方で、水量が安定したという意味で、カヤックができるようになったらしく、JOKI COFFEEの下からもカヤックが出せるそうだ。

JOKI COFFEE眺望
大下さん、なんだか昔からお会いしたことがあるような気がしていたところ、以前、東京のd&departmentで働かれていたことがあるという。もしかして、どこかですれ違っていたのかも…。dをはじめ、今までずっと飲食業界で働いこられたというだけあって、チーズケーキは絶品、コーヒーも美味しかったです。あと、おすすめはじっくり噛み締めたくなるJOKIオリジナルのスコーン。なぜかスコーンだけは白糖不使用、こだわりのマクロビメニューとなっているので、誰でも安心して食べられます^^

JOKI COFFEEチーズケーキ

所感

おいしいパンと、素敵なカフェ。綺麗な水の流れる美しい川があって、美味しいお米がとれる。高知市までは山道といっても30分くらいで、アクセスも良好。ちょっと田舎暮らしを楽しみたい人にとって、条件的には非常に魅力的な町なのだろう。実際、秋山さんにお聞きしたところ、県が移住瀬策に力を入れ始めたこともあってか、平成20年くらいから移住者が増加。移住までいかなくても、相談にくる人は増加している実感があるという。

今回の日本一周の経験上、人口3,800人規模の町でこんなに中心部がまとまって形成されている町は珍しいという気がする。市街地が少しごみごみっとした印象はあるけれど、人口が少なくともこれだけコンパクトに中心部に機能が集中しているからこそ、お店もできて、コトも起こりやすいのではないだろうか。人口の数だけではなく、その分布や町の機能の配置も、町の戦略上、非常に重要なんだろうなぁ、と感じた町だった。

  • レイホクファーマーズカフェ(さくら市内)
    高知県長岡郡本山町本山582−2
    ちなみに、天空の郷はさくら市で購入可能。
  • JOKI COFFEE
    高知県長岡郡本山町521-1

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