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要次郎さんたちと

DAY75 美しい村連合・愛媛県上島町 しまなみ海道の隠れ名所には隠れたおいしいものと驚きの祭があった


愛媛県上島町(かみじまちょう)は、2004年に4町村が合併して誕生した、人口約7,200人(2014.10現在)の町。町といっても瀬戸内海に浮かぶ 25島の島で構成されていて(うち有人の島は7つ)地理的にはバラバラだ(思わず合併のメリットはなんだったのか気になってしまうのは私だけだろうか…)。

しまなみ海道沿いにありながらも、愛媛県と広島県の県境に当たるため橋が通っておらず、アクセスするにはどうしてもフェリーを使わなければならないことから、サイクリングルートや一般的な観光とは無縁な島である。今治北SAの観光案内所で情報収集に当たったが、地図と役に立たないフェリーの時刻表を入手できたのみであった。

上島町アクセス(出典:上島町公式ウェブサイト)

因島から弓削島へ
ひとまず役所庁舎があり、上島町最大の島である弓削島(ゆげじま)に向かう。アクセスには因島からフェリーが頻繁に出ている。下の写真からもわかる通り、弓削島は目と鼻の先。島の人々にとって、このフェリーは日常に溶け込んでいるものなのであろう、車はすーっと何の手続きもなくフェリーに乗り込み、フェリー内に駐車する。時間になると、プーッという地味な音とともに出発する。料金は船員が一台ずつ運転席をノックして回収。

フェリー乗り場でまごまごしていると、フェリーの船員さんから「いいから乗って〜!」っと手を振られて、わけのわからないまま乗船。観光客には、シンプル過ぎてわかりにくいシステムだ。

フェリーのりば
弓削島は大きく上弓削と下弓削にわかれていて、現在の町の中心部はどうやら下弓削の方である。役所、図書館に、a-coop、シーサイドモールというやや名前負けしたモールまで揃っている。とりあえず日常的なことは島内で完結できそうだ。スーパーを偵察したところ、物価もそんなに高くないし、見たこともない食べ物なんかも売っていない。至って普通の田舎町である。


美しい村選定理由

さて、上島町の美しい村選定理由は3つ、「法王ヶ原の松林」、「青いレモン」と、「積善山の景観」だ。まず、弓削島にある法王ヶ原に行ってみた。法王ヶ原は、平安時代から記録に登場し、鎌倉時代からは京都の東寺の塩の荘園として歴史的にも有名だそう。2007年から、島でもその歴史を見直すべく研究会が立ち上がり製塩を再開している。法王ヶ原

景観としては、江戸時代に今治藩主が植林したといわれる樹齢300年を超える松並木と白砂の海岸が、愛媛県で唯一日本の快水浴浴場100に選定されているらしい。海水浴シーズンが終わったからか、海岸にはゴミが目立ったが…。後でお聞きした話では、グリーンキャンドゥというボランティア団体が海岸清掃や松の植樹をしているそうで、地域の方に大切にされている小さな海岸なんですね。
法王ヶ原
法王ヶ原の裏手には弓削商船高専がある。航海士や機関士養成に特化したカリキュラムを持つ全寮制の高校だ。弓削は昔から船乗りの島と言われていたらしく、ここでそだった船乗りたちは世界中の海で活躍してきたそうだ。そんな島の歴史と、高専があるという特殊な条件をもっと島に活かせばいいのに、と思うがこの高専のプレゼンスは極め得て薄い状況であった。もったいない。

弓削商船高専

要次郎氏との出会い
さて、荘園時代のなまこ壁の町並みが残るという情報を得て、なまこ壁探しに。あった。これだ!でも一軒しかない…

なまこ壁
落胆していると、漁師さんらしき方が、何か磯で盛んに採集しているのを発見。「何してるんですか〜?」と声をかけると、潮が引いて出てきたツブ貝を拾っているとのこと。生のひじきも採れるらしい!生ひじきにテンションが上がりキャーキャー騒いでいると、「今晩、お祭りの準備をするのに集まるから、公民館に来たらいい。食わせてやる。」とすごいオファーが!!!!

潮湯
楽しみな夕飯を前に、塩の湯で汗を流すことに。「湯」といっても、温泉ではなく水着着用必須のタラソテラピーの運動施設である。おじいちゃんは、もともとお向かいの因島の造船所で働いていたそうだ。というか、殆どの人が造船関係で働いているそうだ。今は老人会の運営が忙しいんだとか。

更衣室でのおばちゃんたちの話は、NPO活動の話のようだった。どのイベントを手伝うとか、あれは報酬がなくっていやだとか。この島は、世界に船長として船出した経験を持ち、自分たちで何とかするマインドの親分気質のおじちゃんが多いことが関係してか、NPO数が多いそうだ。確かにおばちゃん3人ともそれぞれ別の活動の話をしていたから相当活発なんだろう。

潮湯(出典:上島町の観光地

祭準備委員会参加
さて、夜も更け、約束の時間に。公民館で祭の準備とは、どんな雰囲気なのだろう?やや不安はあるが、せっかくの機会でもあるので、思い切って戸を叩いてみる。さっき出会った漁師風のお兄さん(=後に、村上海賊の末裔でしょうか、村上要次郎さんというお名前だと判明。漁師ではなく役所の職員さんでした 笑)が、「はいってはいって!」と威勢よく迎えてくれた。大人5〜6人で丸くなり、お祭の飾りをつくってるところだった。

秋祭(出典:上弓削秋祭

この島では祭が非常に重要なものらしい。島のカレンダーでは10月が「祭月」と書かれているほど、各地区で独特の伝統が残る祭が毎週行われる。今回準備にお邪魔したのは上弓削地区。ここのお祭は、だんじりの喧嘩祭と言われ、かなり激しいようだ。普段は仲のいい地区同士だが、祭が近づくと口も聞かない。祭りの日は町民全員災害保険に加入するということからも、その激しさが伺える。

高浜神社というところで、久司浦(くじら)地区のだんじりと、上弓削地区のだんじりが喧嘩をする。だんじりの棒が折れるまでひたすらぶつかり合う。突撃するときに、ちょっとでも担ぎ棒が相手より長い方が攻撃しやすいので、毎年ちょっとづつ伸びて、現在は16mの檜を担いでいるそうだ。

弓削島地区(出典:生涯学習情報提供システム

白熱した祭話を聞いていると、要次郎さんが大鍋を持って来てくれた。さっき採っていた「ツブ」「瀬戸内貝」「牡蠣」などごっちゃっと塩でゆでただけの豪快な料理だ。うん、そのままの味がする。笑

貝の塩ゆで
後から一人、また一人と公民館に集まって来る。年齢としては30歳〜75歳くらいだろうか。和気あいあいと話しながらも、やっぱり年長者をきちんと敬っているのがとてもよくわかる。

要次郎さんたちとお祭で太鼓を叩くバチをお土産にもらいました。なんとこれも手づくり!

美味しくてびっくりしたのが、生ヒジキ!!!まず、その見た目!!さっと茹でただけらしいが、草のように、綺麗な緑色をしている。そして食感がまた、コリコリ・シャキシャキで植物のよう。オカヒジキという野菜に名前を付けた人は、このひじきを食べて名付けたに違いない。サラダにしても美味しそうだ。なんとか商品化したいくらいである。

生ひじき

山ちゃん家ステイ
生ヒジキが美味しいと感動しまくっていると、山ちゃんこと山本さんが、「乾燥した絶品ヒジキがあるから分けてやる」と。ついでに、「車に泊るくらいならうちに泊って行け」と誘ってくださった。これまで、Iターンの方の家に泊めてもらったことはあったけど、地元の方にこういう流れで泊めていただいたのは初めて!なんとありがたい。

山ちゃんと
山ちゃん家では、お世話好きの奥様が夕飯をつくってくださった上、なんと天然のテングサから寒天のデザートもつくってくださった。昔はよく地区の人が遊びに集まるおうちだったそうで、おもてなしにも慣れていらっしゃっいました。地域のつながりが濃い程、意外と外の人をうちに入れることに抵抗がないのかもしれないというのは発見であった。

山ちゃんちの前で少し高台にある眺めのよいおうちの前で

>>翌日は DAY77 【後編】です

  • 潮湯 
    初回は体験ということで無料で利用できます!是非お試しあれ。
    愛媛県越智郡上島町弓削上弓削1907−1
  • しまでカフェ
    愛媛県越智郡上島町弓削下弓削830−1
  • ブルーレモンファーム
    愛媛県越智郡上島町岩城3111

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