© coinaca/コイナカ All rights reserved.

熊野古道入門

DAY50 和歌山県田辺市にて熊野古道入門ウォーク


美しい村でも、重伝建地区でもない、和歌山県 田辺市。リノベーションスクールが開催されたこともあり、以前より気になっていたので寄り道。友人の聖君のご出身と聞いていたので、ちゃっかりお盆休みで帰省中なのをいいことに、ご案内をお願いしました。

聖君
私たちは十津川村から下ってきて、田辺に着いたのは22時頃。そこから、まずは夜の田辺の町へ。カメラを持って行き忘れたが、田辺駅前の飲屋街は、人口約7.6万人(2010国調ベース)にしては結構な賑わい。

ここ、田辺市は、自治体名はそんなに有名ではないと思うが、京都・大阪発の熊野詣のルートが大きく、中辺路と大辺路の2つに分かれる分岐点に当たる、交通の要所(地図:黄色ルートが、茶色と水色に別れる所)として栄えた町。今でも商店街の一角に、中辺路、大辺路の分岐を示す道分け石という立派な石碑がさりげなく立っていたりして、歴史を感じます。

熊野地図(出典:熊野ツーリズムビューロー

ちなみに、田辺で夕飯を食べるなら、海産物おすすめです。関東育ちの私が食べたことのない種類の色々なお魚がありました!

熊野古道館
翌朝、さっそく熊野へ。今回は時間が限られていたので、ちょいちょい名所を散策しながら車でまわる入門編。まず立ち寄ったのが、熊野古道館。ここはインフォメーションセンター的なもの。パンフレットをゲットし、軽く熊野古道の概要を知る。熊野古道館

熊野三山(上の地図で赤字の3大社、本宮、速玉、那智大社のこと)の信仰は古来からあったが、盛んになったのは白河上皇(9回行幸の記録あり)、つづく後白河上皇にいたっては、なんと33回も行幸したというから驚き! その後、庶民にも広まり、江戸時代に最盛期を迎えたようで、「蟻の熊野詣」と言われる程、多くの人が列をなして参拝に訪れたのだとか。おっとっと、出口て早々難関が。いかにも趣があるが、これは新規に整備された道らしい。
熊野古道入門残念ながら今回はお会いできなかったが、古道館向いのお土産物屋さんに名物おじさんがいるらしい。次回、ちゃんと歩きに来たときにお会いしたい!

滝尻王子
古道館の向い側からいよいよ世界遺産登録されたエリアに突入。最初にあるのが、滝尻王子(たきじりおうじ)。王子といっても王子様とは関係なく、九十九王子といって、古道に無数に散在する神社のこと。参拝者の安全を祈願してつくられたもののようで、行者がこの前で儀式をするような場所だったらしい。

滝尻神社

乳岩(ちちいわ)
滝尻王子の裏から、少し古道(といっても、けっこうな急傾斜。石畳というか、石段)を歩く。10分弱歩いたところに、乳岩がある。藤原秀衡が子を授かった御礼にと、奥さんを連れて熊野詣に来たが、ここで赤ちゃんが生まれてしまったために、この岩に赤ん坊を隠して急いでお参りにいったのだとか。その間、この岩から滴り落ちる水滴がお乳となって、赤ん坊は無事、両親の帰りまで生き延びたという話。

乳岩
霧の郷 高原
次におすすめビュースポットの高原(たかはら)へ。歩くと、ここまでアップダウンが激しく急な道が続くが、ここでパーッと視界が開けるという感じらしい。果無山脈を、前日に立っていた十津川とは逆から一望できるわけだ。眼下には棚田も広がり、少しひんやりしたいい空気…というか、天気が怪しくなってきた…。
高原
パラダイスカフェ
お昼ご飯は温川(ぬるみがわ)という地区の、「パラダイスカフェ」なる、いかにも怪しげなカフェへ。行ってみると名前から受ける印象とは裏腹に、実際はとても見晴らしがよい丘に立つ、ハイセンスなカフェだった。
パラダイスカフェアプローチカーペット工場をリノベーションして、1階をカフェ、2階をデザイン会社事務所に。屋根にはソーラーパネルが乗っていて、そういえばアプローチには水車の小屋があった。 聞けば、「エネルギーの自立」を、このお店、そして温川一体のコンセプトとして、村をつくっているらしい!本当にここまでやってしまう人たちって、いるんだな〜と関心。パラダイスカフェ

カフェでつかっているのも、間伐材を薪にできる、自家製のピザ窯(中古でゆずってもらった)や釜戸。すごい、徹底している。特にPRを積極的にしているわけではないのに、このピザが評判で、土日は遠方からもお客様がいらっしゃるとか。と、聖君の切り込み力により、運良くお話を伺えたものの、今日は平日なのでお休み!ピザがとっても美味しそうだった〜。くぅーっ!

ピザメニュー
カベロ
パラダイスカフェの代替案として、訪問したのが、これまたAコープリノベーションしたカフェ・カベロ。こちらは湾フロアにカフェ空間と、ステッカーデザイン事務所が同居していました。田舎にもありますね〜、おしゃれなオフィス!確かにステッカーや、デザイン事務所なら場所を選びませんもんね。
カベロ
ランチメニューはサンドイッチ。フォカッチャ生地で、とってもおいしかった〜!
フォカッチャ
近露王子(ちかつゆおうじ)
カベロのすぐ脇にある近露王子。ここにはお社はなく、碑が残るのみ。近露あたりは、当時、参拝客の宿場だったという。多いときは800名が行幸に列したというが、そんな人数が泊まれる程、賑やかな町だったのだろうか。今は田んぼが広がる、小さな集落である。

近露王子
継桜王子(つぎざくらおうじ)
その昔、根本が檜で、上が桜という珍しい継ぎ木があったことからつけられた名前らしい。今も神社の階段下に巨大な山桜が折れてしまったものがあるけれど、これはなんだいか、代替わりした後のものなので、根本は檜ではないようだ。
継桜王子
この王子一帯には、一方方向にしか枝がのびていない杉の巨木が多い。実際は日照や地形によるものだろうけれど、「那智神社の方にしか伸びない」と言われ、一方杉(いいっぽうすぎ)と呼ばれている。

そういえば、生物学者であり民俗学者でもあった偉人(奇人でもあったらしい)南方熊楠(みなかたくまぐす)は田辺に住んでいたという。残存する一本杉は、熊楠が伐採中止を東大の教授に訴えて始まった運動により、現在でも見ることができるらしい。熊楠は活動家でもあったのか、と意外な一面を知る。

野中の清水
継桜王子を下って少しくぼんだカーブに、湧き水が湧いている。この地域の名前をとって、野中の清水というらしい。こんこんと湧いている水と、苔むした周りの石積みがいかにも風情がある。木漏れ日が差し込んだらなお美しいだろうけれど、この辺りで大雨に降られてしまった。

野中の清水
大斎原(おおゆのはら)
車でいくと、山道が開けて熊野川が姿を現す。いよいよ本宮に到着だ。その前に、聖君のおすすめで、本宮が水害で現在の位置に遷る前もともとあった場所、「大斎原」を拝見。入口には日本一大きな鳥居がだっているが、これは当初から建っていたわけではないらしい。
大斎原
大斎原は、なぜ、もともとこんなところにあったのだろう?と思うような、熊野川の中州にある。
現在も流されずに残った、広大な土台の石垣だけが残っている。

大斎原
熊野本宮大社
大斎原から、歩いて本宮に。長い階段の登り口にお参りの仕方が。この鳥居が俗界から神域へのエントランス、とのこと。

本宮
でで〜ん。ついに、本宮。古道をはるばる歩いてきた人たちは、どんな気持ちで大社を仰ぎ見るのであろうか。

熊野大社
鳥居近くにあった郵便局をリノベーションしたカフェもかわいかった。今回は行けませんでしたが、こちらもなかなかおすすめとのこと。気になる!
郵便局カフェ
ここまで、一日一村のペースで村々を巡って来たけれど、やっぱり田辺市レベルになると、見所が多過ぎて一日ではとっても時間が足りない。今回は聖君の名案内により、非常に効率よく、史跡も素敵スポットも回ることができたけれど、いつかまたちゃんと徒歩で踏破してみたい!

そして、今回、熊野のよさとともに、やはり地元育ちの友人に案内してもらうことの面白さも実感。聖君なりに、小さなときのそれぞれの場所での想いでや、昔から何度も聞いてるのにオチがうろ覚えの伝説。そんな、自分の人生に染み付いたあれこれを聞きながら一緒に歩けるのは、やっぱりガイドさんと違うよさ。

私も実家に帰ったら、友達をホストできるくらい、地元のこと、勉強してみたくなりました^^

おまけ
せっかくここまできたので、帰りがけに日本三大古泉のひとつ白浜温泉へ。崎の湯と、牟婁の湯へ。崎の湯は高い波がくると、さぶーんとお湯にはいってくる、大迫力。牟婁の湯は2つの泉質が同時に楽しめて、どちらもおすすめでした。

崎の湯(出典:南紀白浜観光ガイド


キーワード,



関連記事

おばばのお話

DAY93 美しい村連合・宮崎県椎葉村 クニ子おばばと不思議の森へー大切ななにかを思い出せる場所

「クニ子おばばと不思議の森」というNHKスペシャルの番組を見て以来、いつかは訪問してみいと思っていた村、宮崎県 椎葉村(しいばそん)。宮崎県…

原山地区

DAY45 美しい村連合・京都府和束町1 桃源郷ならぬ”茶源郷”の美しい景観はボトムアップ&チームワークの賜物だった

京都府和束町(わづか)。そもそもこの字を「わづか」と読めなかったし、これまでに聞いたこともなかった。ただ、静岡出身 お茶好きの私としては、や…

中村のお父ちゃんと

DAY4 美しい村連合・山形県飯豊町 ホストファザーは森の人間国宝、現役マタギの古民家ステイ

飯豊町にきたら、農家民宿はMUST VISIT。4日目は、朝から移動のつもりが、ホストマザー&ファザーであるマタギの中村さんのお話が…

昔の小坂町

DAY7 美しい村連合・秋田県小坂町 生きた没落の歴史と底力を語る町、もっと語ってほしい町

小坂町は、他の美しい村とは一風違った町である。美しい村連合加盟村には、それぞれ加盟理由というのがあり、一般的には自然や農村の営み、史跡やお祭…

落合ダム

DAY12 美しい村連合・北海道赤井川村(1) 小売店ゼロの村(?)で暇を持て余していたら

人口約1,200人。美しい村連合加盟村の中でも小さなこの村。美しい村認定理由は「カルデラ」と「農業」。これって、日本中、どこにでもあるよね?…

ページ上部へ戻る