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黒木さんと

DAY90 美しい村連合・宮崎県 高原町 さすが神々の降り立った里 コラボレーション型の6次産業化と、ゆゆしき薬効のシュワシュワ炭酸温泉


本来は鹿児島から奄美群島、喜界島に渡る旅程だったところ、台風18号のため、フェリーが欠航となり、急遽進路を変更して宮崎県に向かった。目的地は、美しい村・高原町。コウゲンではなくタカハル、と読む。その語感からピンとくる人もいるかもしれない。そう、ここは神々が暮らす高天原(タカマガハラ)にちなんで命名されたといわれている町なのだ。

高原町(出典:コトバンク

ところで、「47都道府県、行ったことないのは宮崎県だけ」という人に、人生で2人、会ったことがある。偶然なのだろうが、宮崎という場所は、交通の便がよくない上、高千穂以外にこれといった名所も、歴史上際立って表舞台に立つこともなく、なんとなくイメージを持ちにくい県のひとつではないだろうか。しかし、(諸説あるが)日本に初めて神様が降り立った地は、そんな宮崎県の、ここ高原町だったのだ。

高千穂峰

高千穂峰
高原町の西端に、神々が降り立ったとされる「天孫降臨」の地、高千穂峰がそびえている。これが、高原町の美しい村認定ポイントのひとつである。霧島方面から高原町に入るとすぐ、御池(みいけ)という火口湖が登場する。この御池に映り混む高千穂峰が美しいそうだが、あいにく台風の風で湖面が波立ちその姿は見えなかった。

高千穂峰
登山口から2時間もかからず、高千穂峰に登頂できるそうで、天候が許せば行ってみたいところだった。頂上にニニギノミコトが国家安定を願い、二度とふるうことがなくていいようにと、地に突き刺したといわれる天の逆鉾が刺さっている。天気がよければ雲海に浮かぶ桜島、開聞岳まで見通すことができるという。まさに、神様達が地上で最初に目にしたであろう絶景である。

高千穂峰(出典:高千穂登山

念のため記しておくと、高千穂峰と、かの有名な天の岩戸のある高千穂峡は、同じ宮崎県内でも、全く別の場所にある。google mapのルート検索によると、車で3時間ほどかかるようなので、くれぐれも間違えのないように!

高千穂峡参考までに、高千穂峡はこちら。(出典:宮崎観光写真

 
杜の穂倉
シラス台地と豊かな水、温暖な気候。神様が降り立つくらいだから、きっと昔から豊かな土地だったのだろう。そう思わせるような黄金色の田んぼがどこまでも続いている。しかし、田んぼはあれど、まったくお店などは見当たらない。やっと見つけた郵便局で聞いてみたところ、隣町なら美味しいラーメン屋さんがあるのだが…とのこと。

高原の田んぼ

杜の穂倉
近くに産直ならあるということで、「杜の穂倉」にたどり着いた。単体の産直にしてはログハウス風で大きな建物。ちょうどよくウッドデッキもあるし、かなりセンスのよい地場産品の品揃えだったので、久々にキャンプセットで自炊することに。

生パスタ
この地域の小麦でつくったという生パスタを茹でて球磨村で購入したうにどうふで、うにクリームパスタをつくってみる。ふむ。ややうどんチックな生麺はもちもちとして美味。北塩原村で入手した山塩馬路村の柚子胡椒とゆず七味で味付けという、美しい村づくしパスタ!

スパゲッティ

農業法人はなどう
ウッドデッキのテーブルを独り占めしてランチをしていると、ゾロゾロと視察団らしき人々が店からでてきた。どうやら韓国からの視察団だったようだ。いったい、何を見にきたのか?ご一行がいなくなってからレジの方に伺うと、先ほどまで視察対応をされていた、代表の黒木さんを紹介してくださった。

黒木さんは、農協を退職後、農業法人はなどう(花堂とは、この地区の名前)を設立。組合員の農業機器の協同購入、共同利用を促し極力モノを持たず、BM小 清水の利用で質の高い作物をつくる(長野県でお邪魔した高山村で学んだ、BM小清水!まさか、また九州でお目にかかるなんて!!)。その作物で6次産業化 をはかり、付加価値をつけて販売する。平成17年から始まった取り組みは、24年現在、地域に12人分の雇用を生み出し、年間来客数22万人、年収1億円 まで成長したという。

黒木さんと
この6次産業化手法が興味深い。一般的に6次産業化といって想像するのは、まず加工場をつくって、婦人会が加工して…というプロセスだが、はなどうでは基本、設備は持たないそうだ。では、どうしているのか?それは、他企業と共同開発というかたちをとっているというのだ。先ほど食べたパスタ麺も、地元のイタリアンのシェフとの共同開発。よい材料をこちらから提供して、よい技術で製品にして、杜の穂倉で販売する。どおりでラインナップが充実しているわけだ。

驚いたのは、黒木さん、製品開発のための営業はしたことがない、ということ。いい製品をつくっていると、一流のものを探している飲食業者にはなぜか口コミで広がり、どんどんオファーが来るそうだ。今度、ここの小麦をつかったパンも開発されるということだが、そのパン屋さんの職人さんとは、だれかの結婚式で会われたのだとか。仕事として営業していないだけで、常に真剣に仕事に向き合い、お話上手で人を惹き付ける黒木さんの人間力が、多分に関係しているとお見受けした。

黒木さんと私が手に持っている写真は、今度開発が決まったという高原黒酢!何でもつくってしまいます

 

湯之元温泉
さて、黒木さんとBM小清水の話で盛り上がり過ぎて、すっかり暗くなってしまった。本来であれば、高原町の神社巡りをするつもりだったのだが、暗くて何にも見えない上、カメラマンがダウン気味である。高原町は温泉も有名だということで、ついでにレジのおばさまに、おすすめ温泉を伺い、一押しの湯之元温泉へ。

湯之元温泉(出典:好きっちゃ!温泉

湯之元温泉は、明治35年(1902年)創業の老舗。シュワシュワ系の炭酸泉だ。「高濃度炭酸泉」、「中濃度炭酸泉」、「鉱泉」と3種類の浴槽がある。炭酸、というのはつまり二酸化炭素なので、温度が上昇すれば飛んでしまう。よって、高濃度炭酸泉は、炭酸を多く残すため、まさかの22℃。殆ど水だ。中濃度炭酸線はやや加温して34℃。これでも入るのにはやや勇気がいる。ただ、先にはいっていたおばちゃん曰く、入ってしまえば血行がよくなるのか、温かくなってくる、という。

湯之元温泉(出典:カーボリッチ

おすすめは、鉱泉(42℃くらい、熱い)と高濃度炭酸泉の交互入浴。鉱泉で想いっきり体を温めて、高濃度炭酸線にはいると、身体にものすごい量の泡が付く。顔なんてつけたら、バチバチと唇やまぶたが痛む程だ。なんと、刺激が強いため、子供は入浴禁止という徹底ぶり。これを2〜3度繰り返して挙ると、すごく身体が軽くなって、変な感じ。こんなに身体のbefore -afterの変化を感じられる温泉も珍しいだろう。これは、このためにわざわざ高原まできても良いと思えるくらいおすすめの湯だ。

あんかけちゃんぽん@禅
温泉で聞き込みを行った結果、夕飯のおすすめは、居酒屋禅のあんかけちゃんぽんとのこと。都城市で飲食店を経営しているという方で、絶対高原町に来たら、これと決めているというから信頼できそうだ。小さな居酒屋で、簡単にしきられたお座敷に、30~50歳くらいの大男達がひしめき合っている。全員知り合いなんだろう、あっちの席にいっては挨拶し、席を移動したりして、ごちゃごちゃになっている。

味処禅
やや居心地の悪さを覚えながら、カウンター席につく。メニュー表に、例のあんかけちゃんぽんが見つからない。売りのメニューではないのか?
「あのぉ、ごろん亭の奥さんに教えてもらったんですけど、あんかけちゃんぽんって…」と、恐る恐る大将に声をかけると。「あぁ!はいはい。」と、寡黙そうな見かけによらず明るい声で対応してくれた。

禅 メニュー
でてきました、裏メニューあんかけちゃんぽん。熱い!上に、すごいボリューム!チャンポン的な要素はいずこ?と疑問が頭をかすめたが、まあ、美味しいからいっか^^

あんかけラーメン
あわせて、宮崎名物チキン南蛮も注文。この、地元の食堂!って感じの気取らなさと、ボリュームがいい。

チキン南蛮

黒花うどん
翌朝は、黒木さんのおすすめは黒花うどんを朝食に調理してみた。黒木さんの黒に、花堂地区の花をつけて、黒花うどん。これは確かにしこしこでおいしい。よくみると、ちょっと黒っぽいつぶつぶがうどんにはいっている!きっと、これが黒花うどんの黒とかかっているのであろう。と勝手に想像する。


黒木うどん

所感
高原町は、はっきり言って地味である。が、その多くを語らない姿が、なんだか神々の威厳を感じさせるから得だ(が、もう少し見所をアピールしてもらえた方が、訪問者としては有り難い)。留意点としては、例えば事前に神話知識を全く持たずに訪問すると、おそらく湯之元温泉に入る意外、何をしてよいか当惑することはほぼ間違いない。訪問前は、この素晴らしいサイトで予習することをおすすめする。

後から聞いた話では、「高原の人々は心に神をもっている」そうだ。黒木さんと禅の大将くらいしかお話できなかったが、もっと地元の方にお話をお聞きしたかったとやや悔しさが残る滞在となった。どんな方とお会いするかわからないのが旅のいいところだけれど、会いたい、と思ったときに、もっと気軽に地元の人に出会えるようなしくみをつくれないものかなあ。

  • 高千穂峰
  • 杜の穂倉(お食事もあるみたいですが、場所がわからずでした)
    宮崎県西諸県郡高原町蒲牟田788−2
  • 食事処 禅
    宮崎県西諸県郡高原町大字西麓960

 


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