© coinaca/コイナカ All rights reserved.

IMG_1191_R

DAY90 壺に耳をあてると発酵の音が聞こえるー鹿児島県霧島市・福山町の黒酢畑


霧島市・福山町に突如あらわれる「ツボ畑」

桜島を取り巻く錦江湾(鹿児島湾)をぐるっとまわってドライブ。晴れていると遠くに桜島がみえ、「鹿児島だなぁ~」という感慨にひたれる。

〒899 4501 鹿児島県霧島市福山町福山   Google マップ

湾の北側に位置するのは霧島市。その中心部から海沿いに東に走ったところに、福山町(2005年に霧島市に合併)がある。ここでは、日本でここだけのちょっと変わった風景をみることができる。

IMG_1205_R

壺畑の向こうに桜島をのぞむ

それがこの「壺畑」。まさに畑のように、大きな壺が並んでいる。福山町は山から海に向かって扇状に開けた土地だが、ここの平地部分にこんな景色が広がっているのだ。これの正体を突き止めるため、われわれは「くろず情報館」へと向かった。

IMG_1186_R

まだ新しいそうなくろず情報館&レストラン

ここは、黒酢製造会社のひとつ、坂本醸造さんが運営している情報館である。館内の展示では、実に丁寧に「福山の黒酢とは何か」が説明されていた。解説をお願いすると、超ベテランさんが丁寧に、黒酢の歴史について教えてくださった。

坂元のくろず「壺畑」情報館&レストラン
鹿児島県霧島市福山町福山3075

IMG_1203_R

色々テイスティングもできる。飲み過ぎるとむせます。

詳しい説明は現地にゆずるけれど、福山の黒酢は、奇跡のような製造過程を経てできる。黒酢というとなぜか通信販売の健康食品が思い浮かぶけれど、ここの黒酢は昔からの伝統食品。かつ、別に黒くしたかったわけではなく、ここの風土にあった作り方をすると、自然に黒くなってしまうのだという。

くろずの原料は蒸し米·米麹(こめこうじ)·地下水の3つだけです。米麹は、みそや醤油と同じ「黄麹(きこうじ)」を使います。

くろずの仕込みは、春(4月~6月頃)と秋(9月~10月頃)の年2シーズン行われます。壺の中に、混ぜ麹、蒸し米、地下水の順番で原料を入れ、最後に水面を振り麹で覆います。この振り麹の作業は、熟練した職人の手によって1本1本行われています。

くろずは1つの壺の中で、糖化、アルコール発酵、酢酸発酵が自然に進行する、世界でも類を見ない製造方法です。なぜこのようなことが起こるのか、まだ学術的に解明されてない部分も多いのです。
くろず情報館

上記WEBサイトにも写真付きの説明があるのだけれど、ようするにこんな感じだ。まず、壷の中に、麹と米と水を入れる。そして、麹をふりかけて(ふり麹という)表面を覆っておく。そうすると、まず糖化+アルコール発酵が進んで、お酒みたいなものができる。その過程で上面のふり麹(が発酵してどろどろになったやつ)が自然に壷の中に落ち込んでいき、酢の仕掛り品が酸素にふれることで、酢酸発酵が進みだすのである。そのあと、好きなだけおいて熟成して味をまるくする。

普通の酢の製造工程との違い

普通の酢(黒くないやつ)の場合、アルコール発酵のあとは、別の容器に移して酢酸発酵を進める。それが、黒酢の場合はひとつの容器の中で、なんとも絶妙なバランスで二段階の作業が進んでいくのだ。壷の大きさは、これより小さくても大きくてもうまくいかない。錦江湾の中でも、温度や風通しといった点で、福山町の気候でないとダメだという。そのあたりは複雑すぎて詳しいメカニズムはよくわからないので、江戸時代からつづく製法を遵守しているとのこと。

IMG_1191_R

なお、黒酢づくりを支える「ふり麹」は、パッパとふりかけているようで、とてもむずかしい技術らしい。イメージとしては、水の入ったお鍋に米をまいて上面をカバーしていく感じなのだが、下手な人がやると、隙間があったり偏ったり、振り過ぎたりしてしまうらしい。

達人たちは、日々壷のなかを竹の棒でかきまぜ、耳を近づけて発酵の音を聞く。それで、どこまで発酵が進んでいるのか、そして調子がわるい壷(発酵の進みが悪かったり、変な発酵をしていたり)がないかをチェックするのだという。製造業であり、農業のようでもある。彼らは壷が立ち並ぶエリアを「畑」と呼び、黒酢を「収穫する」と表現する。そんな表現がぴったりの景色だ。

IMG_1201_R

景色もいいけれど、知るともっと面白い黒酢の世界。お近くを通り過ぎるときはぜひお立ち寄りを!


キーワード,



関連記事

原山地区

DAY45 美しい村連合・京都府和束町1 桃源郷ならぬ”茶源郷”の美しい景観はボトムアップ&チームワークの賜物だった

京都府和束町(わづか)。そもそもこの字を「わづか」と読めなかったし、これまでに聞いたこともなかった。ただ、静岡出身 お茶好きの私としては、や…

じゅんさい狩り

DAY22 美しい村連合・福島県北塩原村・後編 北塩原村では棚からボタボタ、ボタ餅ならぬ塩ラーメンやじゅんさいが落ちてきた!

花豆モンブラン@ヒロさんのお菓子屋さん福島の地場産品を使ったツイーツコンテストで優勝したという「花豆モンブラン」を食べに、「ヒロのお菓子屋さ…

藤原さんと2

DAY29-2 美しい村連合・長野県南木曽町 町並み保存のパイオニア妻籠宿で学ぶ

長野県南木曽町(なぎそまち)にある妻籠宿は中山道の42番目の宿場として栄えた町。そしてここは、南木曽町が美しい村連合に加盟するはるか昔から、…

落合ダム

DAY12 美しい村連合・北海道赤井川村(1) 小売店ゼロの村(?)で暇を持て余していたら

人口約1,200人。美しい村連合加盟村の中でも小さなこの村。美しい村認定理由は「カルデラ」と「農業」。これって、日本中、どこにでもあるよね?…

中村のお父ちゃんと

DAY4 美しい村連合・山形県飯豊町 ホストファザーは森の人間国宝、現役マタギの古民家ステイ

飯豊町にきたら、農家民宿はMUST VISIT。4日目は、朝から移動のつもりが、ホストマザー&ファザーであるマタギの中村さんのお話が…

ページ上部へ戻る