© coinaca/コイナカ All rights reserved.

五條新町の橋

DAY48-1 奈良県・五條新町で考える、おもしろい重伝建の構成要素


大雨の翌朝、美しい村連合加盟の町、奈良県吉野町に向かう前に「五條新町」に立ち寄りました。ここ五條新町は、2010年12月24日に商家町として重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されています。

五條新町

五條新町の町並み・五條新町通りWEBサイトより

おもしろい重伝建の条件について考える

よほどの建築好きでない限り、重伝建の面白さは、「充実した資料館があったか」、そして何より「住民のお話を聞くことができたか」に依存します。そして、五條新町は残念ながら、どちらにも巡りあえませんでした。それは僕らが朝早く、しかも雨の中訪問したからであって、五條新町のせいではありません。

ということで、今回は「面白い重伝建」について考えてみようと思います。あくまで、僕らにとっての「面白い」です。前述のとおり、建築(特に古民家)好きにとって、重伝建はそこにあるだけで、十分に楽しいものです(おそらく)。「うーん、この虫籠窓のバランスが・・・」とか、「この天井板のうずら模様は屋久杉に違いない、すると家の主(あるじ)は・・」とか妄想をふくらませる人は、それだけでよい。

建築「だけ」では、そこまで楽しめない僕らが、「面白い」あるいは「楽しい」と思える重伝建とは何か。それを探ることで、「指定されたものの、あんまりビジョンがなくてねぇ」とよく言われる重伝建の、ひとつのあり方が見えてくるかもしれません。(ちなみに、超観光地系重伝建という方向性もあり、例えば岐阜県の白川郷や埼玉県の川越などが代表的なケースとしてあります。)

kawagoe

年間600万人以上が訪れる川越。写真はwikimediaより。

では、面白い重伝建とは何か。僕らにとってそれは、「そこでかつて営まれた人々の生活の様子や特有の文化」がかいま見えるもの。なぜ、屋久杉の天井板を使う家が多いのか?どうして、べんがら格子(赤い顔料で色付けされた格子)が使われたのか?

目に見えるものの背景にある「理由」に迫った説明があると、ぐっと面白くなってくるように思います。「なぜそうなっているのか?」そしてできれば、「だから、何なのか?(今を生きる私たちにとって、どんな意味があるのか)」を見いだせれば、すごく面白い。

玄人からは、「そこは自分で考えなさい」と言われてしまいそうですが、それはちょっとハードルが高いので、ところどころにちょっとヒントがあるといい。そうしたら、もっと多くの人達が古い町並みや、そこに脈々と流れる文化を楽しむことができるかもしれません。

と、そんなことを考えながら歩いた、曇天の五條新町をダイジェストでご紹介。誤解のないように重ねて言っておくと、五條新町はとても美しいところで、散歩するには最適なところです。

吉野川のすぐそばに栄えた五條新町

五條市の歴史は、「五條新町通り」のWEBサイトに詳しく掲載されています。

五條市が生まれたのは、今から約400年前、関ヶ原の戦いの後、江戸幕府が成立してすぐの頃にさかのぼります。慶長13(1608)年に、城作りや町づくりに秀でた松倉重政が城下町として建設したのが五條新町の町並みです。(五條新町通り)

なお、上記サイトは極めて親切に、事細かに情報が掲載されているので、訪問の際は予習していくとよいと思います。町並みの特徴から、空き家情報・仲介、そして観光者用に駐車場の位置まで丁寧にまとめられていて、まちづくりに携わる地区の方々の並々ならぬ熱意が伝わってきます。

五條新町
五條新町の家屋は、切妻・平入りの建物がほとんど。青黒い漆喰の壁がワイルドな古民家が目立ちます。

Lami Denfance ala marson

こちらは、古民家を利用したフレンチレストラン「Lami Denfance ala marson(ラミ ダンファンス アラメゾン)」。高級感が漂っておりました。こういう活用が進んでいるところが素敵です。こちらも黒い壁。

五條新町

まちなかを流れる生活水路。曲がり具合がいい味だしてます。

五條新町の町並み

こんな感じのみちを歩く。

五條新町

端っこに近づくにつれて、昭和っぽい家屋が増えてくる。

五條新町の橋

幻の五新線・打ち捨てられた幻のハイライン

そして、突如出現する橋。しかし、この橋、どこにもつながっていない。まさか、こんなところにニョーヨークの空中公園「The High Line」日本版(行ったことは無い)が??と思ったら。

High_Line

ハイラインの参考写真:Wikipediaより

これは五新線(ごしんせん)というかつて計画されていた鉄道の跡らしい。色んな思惑があったらしいけれど、結局は「車でいいんじゃない」ということだったらしい。詳しくは下記リンク先をご参照ください。せっかくだから、ミニ高架公園にでもしたらいいのにね。そうしたら五條新町と吉野川が一望できてよさそう。

五新線(ごしんせん)は、かつて、奈良県五條市の西日本旅客鉄道(JR西日本)和歌山線の五条駅と、和歌山県新宮市の紀勢本線新宮駅を結ぶ計画だった日本国有鉄道(国鉄)の鉄道路線(未成線)。五条駅 – 大塔村阪本(現・五條市大塔町阪本)間を阪本線として、先行開通させる予定だった。(wikipedia:五新線

吉野川

五條新町のメイン通りを少し脇にそれると、そこは吉野川。大雨のせいで濁流になってはいたけれど、優雅な姿。

吉野川の昔

河原にひっそり展示されていた写真。昔はこんな感じで、子どもたちが泳ぎまくっていたらしい。後に訪れた吉野町で、「昔は吉野川がプール代わりでしたよ」というお話を聞きました。この濁流からは想像がつかないし、どう見ても岸壁など川の様子がかなり変わってしまっているが、昔の子供達は水練に余念がなかったようです。

吉野川

現代のニーズに合わせて柔軟に活用される重伝建と、重伝建以上に歴史を伝える幻の高架&吉野川を後に、上流の吉野町(美しい村連合・吉野町レポート)に向かいます。


キーワード,



関連記事

おやき村

DAY32-1 美しい村連合・長野県小川村 明治時代の石張り水路、農業女子、古民家ゲストハウス、おやき村…本州のヘソには見所が集まっていた

人口約2,800人(2014.7.1.国調推計人口)。最近、この数字を見ても「お、ある程度大きい」と感じるようになってきてしまった。東京の巨…

本川市長と

DAY35-3 富山県氷見市 旅の醍醐味はハプニング…にしても、はちゃめちゃなハプニングに見舞われた日本初・体育館リノベーション市庁舎視察

この4月末の退職前、私は銀行の調査部門で、地方自治体の公共施設関係の調査を担当していた。高度経済成長期に、一気に整備された日本のハコモノ・イ…

落合ダム

DAY12 美しい村連合・北海道赤井川村(1) 小売店ゼロの村(?)で暇を持て余していたら

人口約1,200人。美しい村連合加盟村の中でも小さなこの村。美しい村認定理由は「カルデラ」と「農業」。これって、日本中、どこにでもあるよね?…

倉吉歴史講談

DAY59-1 重伝建・鳥取県倉吉市 「歴史講談」で味わう淀屋百年の計と白壁土蔵のまちなみ

鳥取県倉吉市、打吹玉川(うつぶきたまがわ)。赤瓦と白壁土蔵で知られるこの地区は、1998年に「商家町」として重伝建に指定された。この倉吉地区…

おばばのお話

DAY93 美しい村連合・宮崎県椎葉村 クニ子おばばと不思議の森へー大切ななにかを思い出せる場所

「クニ子おばばと不思議の森」というNHKスペシャルの番組を見て以来、いつかは訪問してみいと思っていた村、宮崎県 椎葉村(しいばそん)。宮崎県…

ページ上部へ戻る