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DAY112 重伝建地区・静岡県焼津市花沢地区 かつてミカンは「黄金のダイヤ」だった


ヤマトタケルゆかりの地・焼津にある古代の交通の要所、花沢

静岡県、焼津市。一見伝統的な町並みなんてあまり残っていなそうな場所に、おもしろい重伝建地区があります。その「花沢集落」は、東名高速やJR東海道線から1キロも離れていないようなところに、ひっそりと佇んでいます。

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ちなみにこの焼津、かつては「やきつ」と呼ばれていました。その名には面白い由来があります。なんでも、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東征の際、このあたりで地元の賊に火を放たれて囲まれた。その際、持っていた草薙の剣で草をなぎ払い(名前のまんま)、窮地を脱したそうな。

そんな由来をもった焼津。ヤマトタケルの時代から交通の要所であったわけですが、この花沢地区は東海道にもゆかりがあります。花沢という集落が文献にはじめて登場する戦国時代よりもっと昔、平安時代には、東海道はこの花沢地区を通り抜けていたそうです。(その後、時代が下るについれて東海道は別の場所を抜けるようになりました。きっと地区も一気に衰退したのでしょう)

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山道に沿って石垣と大きな民家が立ち並ぶ、昔話的風景を散歩

そんな古代東海道の名残があるのかどうかはわかりませんが、なんとなく雰囲気のある集落の入り口あたり。ここから峠に向かって登りの坂道が続き、その両サイドに家々が立ち並んでいます。それが800メートルくらい続いているのが、花沢の重伝建。

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絵本のなかに出現しそうな風景。特徴は平らな基礎をつくるための石垣と、入り口の門がそのまま建物になっているという家の作りでしょうか。ここ花沢地区は斜面が多くて水田が確保できず、米の栽培にはむいていないため、江戸時代には和紙の原料となるコウゾやミツマタを栽培していたそうです。

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昭和にはいって、その斜面と、静岡県のよい天気・日照量を活かして柑橘類の栽培が盛んになり、みかんに至っては「黄金のダイヤ」とよばれたそうな。(まぁそれはいまでも静岡県西部の三ヶ日あたりでは変わっていないと思われる)

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急斜面のみかん運搬につかっていると思われるトロッコ。ちなみに花沢地区の家が大きいのは、出稼ぎの「ニーヤ(兄ちゃん)」、「ネーヤ(姉ちゃん)」の宿泊施設を兼ねていたからだそうです。

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通りをあるくと、こんな看板も。オシャモッツァンとよばれたこの大きな岩は、歯痛や子どもの病気に効くと信じられたそう。昔の人が何に悩んでいたのかがわかって興味深いし、道端の特徴的な自然石が崇拝されているあたり、東海道うんぬん以前の太古の昔から、人々に大切にされてきたのではないか、と想像したりしてしまいます。 しかし、「ツァンは”さん”」だとして、「オシャモ」の意味はなんなのか。

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道すがら、古民家(昭和なので、それほど古くはないのかもしれないが)を活用したカフェを発見。ただしお休み、ざんねん。

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散歩道というか、遊歩道のようなところを歩きまわると、みかん発見。

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こんなみかんも。別にこれはミカン型でなくてもよかったような気がするけれど。

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花沢では、そこかしこに住民の信仰や日々の暮らしがかいま見えるモニュメントを発見することができます。都市にめちゃくちゃ近い山間地ということもあるのか、里山とも違ってなんだか独特の雰囲気がある。

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重伝建地区散歩道の終着地点、つまり集落の北端には、法華寺という天台宗のお寺があります。

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そのあたりから集落を見下ろすと「花沢三十三軒」と言われた集落(の一部)が一望できます。なんでも、文献に登場した最初からいままでずっと30軒くらいの規模を維持してきたとのこと。なんとかならして平地として活用できる土地が、相当にすくなったんでしょうね。開拓当時は、どんな風景だったのか。そんなことを考えながら、坂道を下って帰路につきました。

焼津市WEBサイト 焼津市花沢伝統的建造物群保存地区の紹介


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