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DAY59-2 重伝建・鳥取県大山町所子地区 地主の強大な権力の面影を今に残す農村集落


中国地方最高峰、1,729メートルの大山(だいせん)の名を関する大山町。その一角に、重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)、「所子(ところご)」がある。

所子

写真:大山町の位置 wikipedia

ここは「農村集落」としての指定(2013年)というちょっと特別な重伝建。多くの農村系重伝建は「山村集落」であり、里山にひっそり佇む集落という風合いだ。対してここ所子は、ひらけている。そんなところに、タイムスリップしたかのような味わい深いエリアが奇跡的に残されている。

所子

駐車場に車を停め、周囲をぶらぶら。写真のように、いったいどこが重伝建地区なのかよくわからない。けれど、夏の終わりのの田園風景がとても美しい。

所子

しばらくいくと突然表れる古民家群。ひと目でそれとわかる立派さ。重伝建にも色々あって、朽ちかけている(将来が心配になる)ものもあれば、博物館的になってしまっているところもある。所子の古民家群の静かな迫力は、今も人々が生活しているまちならでは。

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通りに、商家でも山村の家屋とも異なる家が連なる。

門脇家住宅

写真には写っていないのだけれど、門の内側にちらっと巨大な茅葺き住宅がみえる。後々調べたところでは、こちらが重要文化財の「門脇家住宅」とのこと。一年に数度、一般公開される日があるらしい。

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家々を突っ切り、終点らしきところの畑をウロウロしていたら、地元の方と出会った。すかさず挨拶をする。重伝建と言っても、住んでいる方がいるので、挨拶は欠かせない。あんまり観光地化していない重伝建だと、高確率で「何しにきたね??どこからきたね??」と会話が始まる。今回もそんな感じで所子トークが始まった。

色々とお話を伺ったところ、先ほど歩いていた通りは「大山参詣道」で、山岳宗教の聖地・大山を詣でる人々が歩いた道とのこと。そして両サイドに立ち並ぶ広大な屋敷は、「門脇家」一族の住居だそうだ。

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立ち話が座り話になり、所子について、昔の生活についてお話を聞く。所子の歴史は、現在もそこに生きる人たちの生活に直結しているので、聞いた話の全てをここに書くのは遠慮しようと思うけれど、簡単に書く。

所子は門脇家、美甘家(みかも、と読む。みかん、ではない。)の両家を中心に発展したと言われている。両家ともに中世以来の歴史を持つ旧家で、所子の土地は彼らによって所有されていた。農地改革以降、地域の人々に土地は分けられたが、戦後しばらくは、両家の人々には帽子をかぶったまま挨拶などできなかったそうだ。

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腰掛けていた場所の裏にはお墓とお堂があった。

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この土地が全て一族のためのお墓だということから、中世以降、大庄屋や地主と呼ばれる人たちがどれほどの権力を持っていたかが少し伝わってくる。

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記念写真。「あとで私にも送ってね!」と、明るく畑仕事に戻っていかれた。畑仕事に携わるおじいちゃん・おばあちゃんは本当に元気。大山参詣道をはずれて、裏道をうろうろしていると、また地元の方に声をかけられる。「美甘家住宅には行ったか?あそこの庭は見に行くといい!」とのこと。

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迷いながら到着した美甘家。2013年重伝建登録だから仕方ないけれど、はやくWEB上か駐車場付近に地図をおけるようになると便利だなと思う。門の外にいると、庭の手入れをされていた現当主が脚立から降りてきて「お庭見ていってくださいね!」と親切に声をかけてくださった。

美甘家

現当主は17代目。「500年の歴史があります。この地区では最も古いんですよ。」とのこと。(実際にそうらしい)17代目の自慢の富士山の溶岩を活用したお庭を眺めつつ、所子についてここでも様々お話をうかがった。所子の人たちは旅人にやさしい。

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大都市あるいは地方都市に生きる私たちには、かつての農村の暮らしや、そこで大きな役割を果たした地主や庄屋がどういったものだったかをありありとイメージすることは難しい。その意味で、平野部にも関わらず農村集落が地区まるごと保存されている所子は貴重な場所だ。なんだか中世に迷い込んだような不思議な後味が心地よい。

この後、歩きすぎてお腹が減った私たちは回転寿司「北海道」へと向かった。鳥取県に本店を持ち、この地域のみに展開する寿司「北海道」。店内には鳥取の漁師による、鳥取の魚介のポスターが立ち並ぶ。なぜ北海道なのだろう?とても不思議に思ったが、寿司に手を付ける頃にはそれもどうでもよくなっていた。鳥取は何だかよいところだ。


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