© coinaca/コイナカ All rights reserved.

安達太良山

DAY113 美しい村連合・福島県大玉村 イグネ、神楽、PLANT5、生キャラメル…安達太良山とともに生きる最新の美しい村


今年、2014年は6月から5ヶ月ほどかけて日本一周し、日本で最も美しい村連合に加盟している54カ所の地域のうち、52カ所を訪問した。残るは、2カ所。沖縄の多良間村と実家からすぐ近くにある静岡県松崎町だ。この福島県大玉村は、いったん日本一周が完了したかに見えた10月の中旬になって、新規追加されたというニュースを聞きつけ、慌てて九州から引き返し、訪問した村だった。

大玉地図(出典:wikipedia ↑  濃い黄色の村)

PLANT5
大玉村(おおたまむら)は大井村と玉山村が合併してできたは人口約8,400人(2014年現在)の村。二本松市のお隣で、二本松ICを降りてすぐ。交通アクセス良好なためか、人口は微増中だ。朝、大玉村に到着したものの、広がるのは稲刈りが終わった田んぼばかり。その向こうには美しい安達太良山がゆったりと構えている。11月となると、もうかなり寒い。

ひろがる田んぼ

大玉村には独立した観光協会もないし、町の中心がどこなのかもよくわからないなか、ひとまず村にはいって一番に目を引く大きなスーパーへ。その名もPLANT5。聞き慣れないこのスーパー、どうやら福井資本のスーパーらしい。かなり広大なパーキングだが、休日は村内外からの客で埋め尽くされるらしい。田んぼののどかな風景には不釣り合いに映るが、そんなことは日常生活に関係がない。このスーパーは人口増に一役かっているかもしれない。しかし、村の中では行けば人に会って恥ずかしいので行かない、という人も増加しているのだとか 笑

PLANT5

あだたらの里
PLANT5の広大なパーキングの向こう岸には、小さな産直の建物が。風評被害で一時期売り上げがたたず大変だったらしいが、今は元に戻りつつあるようだ。品数も多く賑わっている。

あだたらの里
大玉村の肥沃な土地では野菜は何でもとれる。が、何でも採れるが故に、特産という特産がないのが悩みとのこと。江戸時代には「二本松藩の米蔵」と評された程、昔からよい米がとれる土地であったらしく、美味しいお米には自信があるようだ。休日は、この産直の一角に、大玉村のお米でついた餅が食べられるコーナーが現れるそうで、餅好きとしては是非食べてみたかった。。

柿の木

馬場桜
あだたらの里にて、村の地図をゲットし、地図片手に、PCで情報を付け足しながら町の散策を開始。どうやら、メインの国道4号線からちょっと西側に走ったところに村の中心があるようだ。国道沿いに中心がないところを見ると、けっこう古い町なのだろうか。

中心部付近で、まず訪問したのが馬場桜。国の天然記念物にも指定された桜の大木だ。だが、樹齢が1000年以上に及ぶとかで、すっかり勢いが衰えてしまっているご様子。村の中心部付近の道はけっこう細く、入り組んでいるので、馬場桜裏の大きな駐車場に車を停めて散策するのがおすすめ。

馬場桜

生キャラメル工場@向山製作所
あだたらの里でもらって来たパンフレットのひとつに、ふるさと納税の商品ラインナップがあった。お米や野菜のプロダクトが並ぶ中、ひときわ目を引いたのが「生キャラメル」。しかも、製造元が向山製作所という工場?!…これは気になる。さっそくwebでサーチして生キャラメルの謎を探るべく、突撃してみた。

向山製作所

たどり着いたのは、田んぼの端っこにある、白い小さな工場だった。でも、ある程度大きな駐車場はいっぱいだから、地域の雇用をきちんと生んでいる真面目な会社なのだろう。しかし、生キャラメルの看板もなにもない….。おそるおそる玄関を覗いてみると、プレーンな工場のロビーの一角に、小さなキャラメルコーナーを発見!たまたま工場の方が別のお客様対応中で、中に招き入れてくださった。

キャラメル

その名の通り、向山製作所さんの本業は電気機械の制作。しかし、飲食業に興味があった社長さんの趣味が高じて(というと失礼にあたるかもしれない。リーマンショックで不況だった時代を有効に活用し、と申し上げた方が適切か。)数年前から生キャラメル製造を工場の傍らで始めた。現在では東京駅前のKITTEにお店を出すところまで拡大している。パッケージデザインもお洒落。社長さんのお姉様がデザイナーさんで、デザインをしてくださっているのだとか。

IMG_4520

IMG_4529

カレーシャムロック
営業しいていれば、町の食材メニューが並ぶという森の茶屋に行きたかったところだが、平日はお休み。ということで、カレー好きな我々は27種類のスパイスでつくられているカスパイスカレーという文句に惹かれて、お昼はカレーに。

シャムロック
うむ。普通に美味しい。カレーとセットででてくるフローズングリンピースとわかめのサラダは名物らしいが、私はちょっと苦手だった。カレーはジンジャーチキンカレーのチキンが美味しかった。

大玉村の歴史
気になったのが、この店に置かれていた「大玉の歴史」という資料集。町の歴史風俗、産業についてなどがかなりコンパクトにまとまっており、想定もなかなか素敵。じっくり読みたいところだ。こんな小さい村なのに、よくまとめたなぁ、と関心する情報量と写真の多さで、文章も読みやすい。多くの自治体にいろんな資料が散在しているけれど、こういう、「この村入門」みたいなまとめ本は大変助かりますな。後世に村の文化を伝えて行くためにも、よい事業だと思う。

シャムロック

役場訪問
今回お話を伺ったのは鈴木さん。指定を受けてからまだ1ヶ月も経過していないということで、「今からです」とおっしゃりながらも、色々とお話をお聞かせいただいた。

鈴木さんと
美しい村の認定理由は、「安達太良山(あだたら)といぐねの景観」と「神原田の十二神楽と本揃の田植え踊り」とのこと。神楽と田植え踊りについては、こちらは江戸から続いていたものを、保存会が復興。ここ数年の間に、小学生のカリキュラムで取り上げられるなど、継続に力を入れ始めたところだそうだ。 

イグネのある風景
いぐねというのは、このように家の西側に杉やケヤキの気を植え込み、偏西風(安達太良おろしと呼ぶ)や、それが運んで来る雪から家を守る林だという。それだけでなく、落葉樹の落ち葉を堆肥にしたり、枝を薪にしたり。常緑樹は太く育てて、家の修理に活用する健在とする等、生活に密着し、非常に合理的な存在であるらしい。さらに、鶏や小動物のえさ場ともなり、生態系の保持にも一役かっているのだとか。景観としても美しく、一石三、四鳥はありそうだ。

田んぼ通り

鈴木さんにおすすめビュースポットを伺ったところ、大名倉山から見下ろした金色の穂の田が広がる風景が一番好き、とのこと。その後、大名倉山にちょっと登ってみたが、ポイント見つからず断念(写真の田んぼ通りが目印だったんだけど、その先がわからなくなってしまった…)。せっかく素敵な風景なので、今後は展望スポットの整備に期待です。

田んぼ通り

十二神楽の舞台神原田へ
国の無形文化財登録を受けており、少なくとも250年前かた続いているとされる十ニ神楽。4月と10月のお祭りで披露されるということで、せめてその神楽殿を見に行くことにした。迷って、村営の体育館に車を停め、そこにいたおばあちゃんに道を訪ねた。おばあちゃんは「六社様ね」(六社大明神を祀っているため、地元ではこう呼ばれている)と言いながらすぐ横の神社を案内してくださった。

神楽殿

ついでに、隣が自分の畑だから寄っていきなさいと、お野菜をたんまりいただいた。40年以上もこの畑で野菜を育てて来たそうだ。今でも1人で続けていて、直売所で販売しているそうだ。元気で、すごいですね~!というと「だって、楽しいもの~!死ぬまでやるの。」と。「ほら、こうやって安達太良山も見えるし。いいところよ~!」と、心から今ここでの生活に喜びを感じている模様。うらやましくなる。

お野菜をもらう

IMG_4621
ふるさとホール
小さな民族資料館で、縄文・弥生時代からの発掘品と、移築された古民家に農機具などが展示されている。常に開催されている訳ではない祭の様子を、資料館であれば見れるかと期待して行ったら、やはりビデオが!!!係の方に聞いてみると、残念ながら長らく稼働しておらず、操作がわからないという。ががーん…。認定理由がお祭り等の場合、できればこういう場所で映像として見られると、ちょっと気分が盛り上がる。こちらも今後期待だ。

資料館

所感
神楽や踊りが美しい村認定の要素になっていると、行くタイミングが限定されてしまうのは考えものだと思っていたが、確かにそれを保存して行こうという住民の姿勢を推進する力にはなるのかもしれない。せっかく美しい村として認定されたのだから、残して行こうというモチベーションにつながるのなら、うまく利用すべきだ。大玉村で実践されている、地元の学校の授業のカリキュラムやクラブ活動として伝統芸能を取り入れて行く取り組みは非常によいアイディアでバックアップすべきものだと思った。そのときは価値がわからなくても、小さな頃、身体で感じて覚えた経験はあとあと残っているものだ。

イグネ

イグネについては、せっかくとても素敵な風景なので、行った人に伝わるよう、今後、ぜひ情報発信をしていってほしい。さらに、イグネのあるなしに関わらず、大玉村は何気ない風景が美しい長野県の中川村熊本県の南小国町に似て、どこを切り取っても安達太良山をバックにした農村風景が様になっている。気になるのは、多くの人にとって村の入口となる国道4号線付近。よりによって、そこだけ統一感のない看板や建物が立ち並び、第一印象を壊してしまうのではないかと懸念される。せっかく田舎っぽさをとどめている村だから、そこを否定せず、らしさを大切な価値として認識し、伝えて行く努力が望まれる。

 

 


キーワード,



関連記事

メジカの刺し身

DAY73 重文景観・高知県中土佐町の久礼大正町市場でメジカを食す(夏季限定)

高知(土佐)といえば、たんまりと薬味がのったカツオのタタキであるが、少し足を伸ばした中土佐町でちょっと変わった魚が食べられると聞き、足を伸ば…

京極町_男爵の花

DAY11 美しい村連合・北海道京極町 自分たちのために美しい町を守る 羊蹄山麓名水の町のシンプルなチョイス

京極町の魅力は至ってシンプル。なんといっても羊蹄山麓の名水。そして羊蹄山をバックにした美しい農村風景にある。 日本の湧水百選にも選ばれてい…

おばばのお話

DAY93 美しい村連合・宮崎県椎葉村 クニ子おばばと不思議の森へー大切ななにかを思い出せる場所

「クニ子おばばと不思議の森」というNHKスペシャルの番組を見て以来、いつかは訪問してみいと思っていた村、宮崎県 椎葉村(しいばそん)。宮崎県…

喜界島

DAY98 美しい村連合・鹿児島県 喜界島【前編】ノロ信仰、風葬、数々の民話、分断政治…隆起珊瑚でできた島で極上民俗ツアーを楽しむ

喜界島は奄美群島のうちのひとつ。鹿児島からはフェリーか飛行機の2ルートがある。しかし、今年は10月に入ってから季節外れの台風18号、19号が…

落合ダム

DAY12 美しい村連合・北海道赤井川村(1) 小売店ゼロの村(?)で暇を持て余していたら

人口約1,200人。美しい村連合加盟村の中でも小さなこの村。美しい村認定理由は「カルデラ」と「農業」。これって、日本中、どこにでもあるよね?…

ページ上部へ戻る