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積善山から

DAY76 美しい村連合・愛媛県上島町 村民による村民のための島を目指した取り組みと、国内でしか流通していないレアな青いレモンの秘密


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藤巻さんインタビュー
翌日は、役所にて地域おこし協力隊の藤巻さんのお話をお聞きすることができた。藤巻さんは東京のマーケティング関係の会社で働いていたが、3年前に協力隊と して旦那様とともにIターン。お二人とも山梨出身で、海に憧れがあってこの島を選ばれたのだとか。

藤巻さんのお話で、面白かったのがマーケティングの会社にいたがために、島についてマーケティングという視点をあまり取り入れていないという話。ブランディングして、せっせと外から人を呼び込むことよりは、この島では島の人が幸せにくらせる仕掛けをつくることを、まず第一の目標にしているとのこと。せっかくUIターンしてきた若い夫婦が、この島に住んでよかった、と思えるような町でなければ未来はない。当たり前のことだけれど、ついつい、外にばかり目が向いてしまっている地域が多い中で、積極的な内向きの姿勢が新鮮だった。

藤巻さんと

高井神島キャンプ
藤巻さんが町の方と企画しているものに、高井神島で行う「かわうそキャンプ」がある。高井神島は人口34名、子供がひとりもおらず、高齢化率は85%という、まさに限界集落の島。上島町民であっても特別なにか機会 がなければ足を踏み入れることがない島だが、そこにある休校中の学校を舞台に、町内の小中学生を対象としたこどもアートキャンプを行っているそうだ。高校になれば島を離れてしまう子供達が多い中で、小さな頃の島での豊かな原体験をつくっておくことは、きっと長期的に大切なことだろう。

かわうそキャンプ(出典:上島町島おこし協力隊ウェブサイト

しまの大学
学習の機会を設けているのは小学生ばかりではない。島の大人向けには、「しまの大学」というものの運営も手伝われているそうだ。しまの大学は弓削島の人の課題や、実現したい夢を授業に見立て、地域の人、そして地域外から協力してもらい、一緒に掘り下げて解決&実現してく取り組み。

その一つに「摘み菜」学部がある。摘み菜とは、「採って食べられる健康に良い草や海藻のこと」を指すそうです。これまでただの雑草だったものが、宝物に見えて来る。ん!?この視点、摘み菜から、大切なことが学べそうですね。島のカフェ「島カフェ」では摘み菜学部から生まれが「摘み菜プレート」も注文できる。

摘み菜ブック
ちなみに、藤巻さんは協力隊任期が終わっても、島に定住される予定とのこと。食と農の関係、働き方と暮らし方のバランス等、島での生活で感じたことを形にすべく、パーマカルチャーの農園を準備中とのことで、次回はそちらにもお邪魔したいなぁ!


しまカフェ

ラ ンチは上記、島カフェ(正式名称はしまでカフェ)で。しまカフェは弓削島のまちづくり会社的な存在である、しまの会社という会社が運営しているそうだ。摘み菜プレートは2日前まで要予約で残念ながらありつけなかったが、中に島のプロダクトを販売するスペースがあり、弓削塩をゲット。スタッフの方が、ややぶっきらぼうだったのは、やっぱり観光客のためお店ではないから仕方ないか…。
島カフェ

生名島(いきなじま)
午 後からは岩城島に渡る。弓削島と道路でつながっている生名島に移動。そこから因島へフェリーで渡り、更に因島から岩城島へ乗り継がねばならない。フェリー 待ちの間に、生名島の巨石群「メンヒル」なるものを見物に行った。7mもあるこの石(地上4m、地下3m)は、弥生時代の人々の信仰の対象だったと言われている。不思議なこ とに、島の地層からは発見できない成分を含んでおり、どこからどうやってはこばれてきたかは謎らしい。

メンヒル
この裏には、この島では有名人、数々の逸話が残る女傑 麻生イトの石像がある。因島で造船業や人材派遣的な事業等、女性経営者としての手腕を発揮した人物。普段から男装している等めちゃくちゃクセのある人物だったようですが、この島にはお堂や保育園を残す等、慈善事業も行っていたことから尊敬もされているようです。

麻生イトさん(出典:せとうちタイムズ

岩城島(いわぎじま)
ようやく岩城島へ。岩城島は「青いレモンの島」として知られている。レモンの生産日本一の生口島のお向かいの島だから、気候もあっているのだろうが、岩城島のレモンの特徴はなんといっても青いこと。この「グリーンレモン」(青いレモン)は、実が成熟してから黄色くなるまでの短い間しか収穫できないレアもの。グリーンの間にしかないさわやかな香りが特徴だ。外国産レモンは、未成熟の段階で収穫され、長い輸送の間に黄色くなる。そのため、果汁は多いが糖度が低く、すっぱくなってしまう(糖度8度前後)。キレイなエメラルドグリーンのレモンは、とりたての国産レモンの証。ちなみに、国産レモンの糖度は11度前後もあるそいうだ。

青いレモン
さて、岩城島では、昨日公民館で紹介してもらった、レモン農家の古川さんにお話を伺うことができた。古川さんは京都でバブリーな生活を送っていたが、なんだ か虚しさを感じ、離島への移住を決意。沖縄に行くべく話を進めていたが、何かと難航。そんな時、たまたま遊びにきた岩城島が気に入り移住を決意。しかし、 「移住したい」と役場に話に行ったら「君のような人が来ても生活できない」と追い払われたそうだ(今とは時代の違いを感じる対応)。そこで逆に火がつき、 無理だと言われた農業に挑戦することになった。

ブルーレモンファーム

古 川さんの強みは、とにかくコミュニケーションスキルが高いこと。持ち前のノリで、直接東京のレストランとも契約している。古川さんは、インターンもかなり 柔軟に受け入れていて、気軽に農業体験&島体験もできる。古川さんから言われた言葉が心に残っている。

自分で選んでいるようでも、島に呼ばれる人 と、そうじゃない人がいるんだよね。移住もご縁が強く関係してて、来年くらいに移住したいと言ってて、突然1ヶ月後とかに仕事にけりがついてポーンとくる 人もいれば、すぐ来るといって、なんだかんだ障害があって流れてしまった人もいる。」これを聞いて、すごく気が楽になった。ブルーレモンファームでは、自 らが移住者であり、新規就農者であった経験を活かして、的確なアドバイスがもらえそうだ。

古川さんと

積善山からの風景
最 後に、美しい村認定ポイント、積善山へ。3千本の桜が満開になるときが素晴らしい!と島の方はみなさん口を揃えて言われるが、今の季節に行っても仕方ないか、と諦めかけたけれど、これは行ってみてよかった。そんなに高い訳でもないが、遮るものがないため、360度のパノラマが楽しめる。こんなに島々がぽこぽこあって、それぞれにこんなにカラーがちがうなら、もっと色々いってみたいな〜。と思いつつ、帰途についた。

積善山の道には、たくさんの桜の木の植樹記念の立て札がある。卒業式に校庭に植えるのではなく、この山に植えているようだ(しかも、1本1本というより一定のエリアを植樹している模様)。少しずつ時間をかけて、みんなで植た木で山を彩っていく。なかなか、いいアイディアだ。

積善山から
所感

藤巻さんもこの島に面接で来たときに、地元の方に夕飯に招いてもらい、この島ならやっていけると感じたという話を聞いた。この島は、ナチュラルご接待の島なのである。島ではソトモノが目立つ=監視の目が行き届くという、ともするとマイナス面となることであるが、それが、やはり島独特の安心感を支えているのかもしれない。「島で悪いことはできん」という前提が、他人を受け入れやすくしているということだ。離島は閉鎖的なようで、意外とソトモノが居心地のよさを感じるのはそんなところに要因があるのかもしれない。と、思わせるような温かさ満点の島でした^^

  • 潮湯 
    初回は体験ということで無料で利用できます!是非お試しあれ。
    愛媛県越智郡上島町弓削上弓削1907−1
  • しまでカフェ
    愛媛県越智郡上島町弓削下弓削830−1
  • ブルーレモンファーム
    愛媛県越智郡上島町岩城3111

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