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資料館

DAY2 新潟県燕三条 注文がおおくなる史料館 スプーン博士・齋藤優介氏に聞く


スプーン博士・齋藤優介氏を訪ねて、燕市産業史料館へ。昨晩「独自のカレースプーンがつくりたい」という相談を小山さんに持ちかけたところ、紹介していただいた燕三条の偉人のひとりである。

燕の金属加工は名代官のアイディアから
三条市は洋食器で有名な町。日本製カトラリーのほぼ100%がこの町でつくられている。スプーンなどどこでもつくれそうなものだが、なぜ燕のひとりがちなのか?カレースプーンを巡る談話から多くの示唆を得た。

はじまりは江戸時代。災害が多く、冬は雪深いこの地域のレベニューストリーム多様化のため、ある代官が和釘の生産を始めたのがきっかけ。良質の銅を含む銅山と、輸送のため信濃川があったことが幸いし、江戸城の釘の多くは燕産だったという繁栄ぶり。
和釘

明治に入り、洋釘の流入以降、和釘は廃れたものの、今度は文明開化で洋食器文化が広がり、当時は輸入品だったスプーンやフォークを国内生産するのに、白羽の矢が発ったのが、燕だったそう。

カレースプーンにみる洋食器産業の諸課題
さて、オリジナルカレースプーンをつくるには、二通りの方法がある。
①職人に注文してつくってもらう(ステンレスは固いので銅に限る)
②金型から発注し工場でつくってもらう(金型に500万円くらいかかる)
というわけで、スプーン1本つくるにも、どっちにしろ大変高価なものになってしまう。

スプr−ンづくり無料でできるミニスプーンづくり体験このように金型でつくる

つまり、スプーンの製造は金型が必要で、自動車などと同じ装置産業といえる。大きな初期投資が必要であるため参入障壁が高い。一方で単価は1本600円程で、全然儲からない。中国やスリランカからの輸入品は、更に安かったりして…。

輸入品に対抗すべく、安価で質のよいものづくりが可能な背景に、高い技術を持っていながら最低限の収入で働いてくれる後期高齢者達の存在がある。しかし、コストを削減しまくってギリギリのところで競争力を保っているため、後継者の育成などにお金をふりむけられない。低賃金できつい仕事は子供達の代にはさせたくないという気持ちもあるようだ。

しかし、三条のお年をめした技術者が1人亡くなってしまうたびに、日本の洋食器の技術が同じ分だけ、なくなってしまう。なんとか食い止められないものか…。

敢えて文化の残る田舎に住むという選択
いや、もうくいとめられない。と齋藤さん。そのために資料館につとめることにしたのだという。

“今後、燕の産業は上向くことなどないだろう。だから、せめて今ある技術を記録にとどめたい。町工場は上を目指して広がり育つ幹や枝葉っぱ。技術の継承や記録等変わらないもの、見えない根っこの部分を担うのが資料館の役割。”

齋藤さんのシェアオフィスで齋藤さんのシェアオフィス&ライブラリーにて。水がまるくなるという、お宝の銅のやかん。

この史料館に地元の企業の方がくると売り上げがのびるのだそう。お客さんを連れてきて、燕の確かな技術の歴史が確認でき、その上にたって仕事をしているというストーリーが共有できるのだろう。

今回、燕の文化を熱く方ってくれた齋藤さんも、東京に一度でてから地元のよさに気づいて戻ってきたUターン組。
正直、単純に経済的な面で言えば東京の生活の方が安上がり。家賃が高いとはいえ、車もいらないし、安く生活しようと思えば食費も極力抑えるという選択肢がある。田舎は不便なのでコストがかかる。それに代え難い何かがなければ、こんなところに住まないだろう。

齋藤さんの尖った渕の眼鏡のせいだろうか、その言葉が、なにか都会の人に突きつけられているように思えた。また、燕三条でひとり、熱い炎に出会ってしまった。決して町並みに趣があったり、美しかったりするわけではないこの町。燕三条の磁力は、明らかに、この素晴らしいシビックプライドを持つ30代市民の志の中にある。

齋藤さん

DATA – – – – – – – – – –

▶名物学芸員:齋藤さん
燕市出身。一度上京後、20代前半で燕市に戻り、資料館スタッフ歴十数年。スプーンコレクションは100本以上。史料館に行って「齋藤さんいますか」と聞けば、きっと出てきてくれる。

燕市産業史料館
〒959-1263 新潟県燕市大曲4330-1
電話:0256-63-7666 FAX:0256-63-7669
月曜定休(祝休日の場合は翌日)


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