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DAY77-2 重伝建・柳井 甘露と月性と金魚ちょうちん


岩国藩主のすみか、錦帯橋(きんたいきょう)周辺から同藩の商人が住んだ地、柳井市(やないし)へ。柳井市の中心部、古市・金屋地区は、1984年に商家町として重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されている。

山口県柳井市柳井3714-1

ここ柳井の特徴は、金魚・維新志士・水路水運・醸造。

地図

200メートルほどのメインストリート沿いに、見どころが集約されている。

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佐川醤油店でスプレー甘露醤油と乾燥納豆を購入せんとす

さすが重伝建指定から30年以上を経ているだけあって、建物がよく修復されている。また、アスファルトでない路面が通りに違和感なく彩りを添えている。そんなことを考えつつ、まずは醤油蔵へ。

醤油蔵

通りから少し入ったところにある、佐川醤油店。

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ここでつくられる「甘露醤油」は、立て札にあるとおり、醸造人が藩主に献上したところ「甘露、甘露」とつぶやいたため名付けられたらしい。「うまいなぁ」という意味で「甘いなぁ」という意味ではないらしいのだが、九州や四国には甘い醤油もあるので、瀬戸内のここ柳井の醤油も、もしかしたらちょっと甘かったのかもしれない。

ちなみに、甘露という言葉は結構すごい意味を持っている。藩主に徳がありすぎて、天から降ってきてしまった醤油。

甘露(かんろ)とは、中華世界古代の伝承で、天地陰陽の気が調和すると天から降る甘い液体。後世、王者が高徳であると、これに応じて天から降るともされた。後にインドから仏教が伝来すると インド神話の伝承で不死の霊薬とされたアムリタを、漢訳仏典では中国の伝承の甘露と同一視し、甘露、あるいは醍醐と訳すようになった。wikipedia:甘露

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お店の中では、甘露醤油と関連プロダクトを様々に販売している。蔵の備品を活用した展示がいい感じ。僕らはスプレー方式の甘露醤油と、良質なプロテイン摂取に励む友人のために乾燥納豆を購入することにした。

スプレー方式にしたのは、後の九州編で食すことになるであろう、馬刺しを意識してのことだが、その他にも車移動中に豆腐など食べるときにも、スプレー式が結構便利だからである。小瓶方式や小袋方式は、こぼすと大惨事だし、ちょっとつけすぎることが多い。

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お店の奥には、醸造樽が設置してあり、見学することができる。

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天井の梁がものすごいことになっている。

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しばし、醸造蔵で働く奉公人の気分にひたる旅人。十分楽しんだ後、スプレーと乾燥納豆を購入しようとお店の人をブザーで呼ぶが(常時店番の人がいるわけではない)、微妙に数十円所持金が足らず、帰り道にまた立ち寄ることに。所持金不足には要注意。

商人の生命線である川と、当時の生活がしのばれる水路

看板

柳井の町割り(区画)は、室町時代から続くものであるという。まちを流れる排水路も、当時からあるそうな。

水路

わかりにくいけれど、これがその水路。

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なんと、カニが出没するらしい。そう思って水路をみていると、確かに時々カニがいる。カメラを向けると逃げるので、撮影はできなかったけど。

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脇道を抜けると、柳井川にでる。あらためて地図をみると、商人の町らしく水運に優れた土地であることが察せられる。

山口県柳井市柳井3714-1

往時の商人たちは、この川べりに船をつけて、物資を運びまくったのだろう。

人と川

現在では、散歩にちょうどよい川べりになっている。

地場産品・金魚と、維新志士のよりどころ・月性

柳井を歩いていてちらほら見かける謎の金魚。ちょっとあの世を見通してしまっている感じの眼が特徴的である。

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こんな感じで、家屋の前にぶらさがっていたりする。

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こて絵?(しっくいでつくった芸術的な装飾品)っぽいくなっているものも。

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これがオリジナルの「金魚ちょうちん」らしい。どうしてこのようなものが柳井で超局所的に時をこえて流行っているのか。

金魚ちょうちんは、幕末のころ、今からおよそ150年の昔、柳井津金屋の熊谷林三郎氏(さかい屋)が、青森の「ねぶた」にヒントを得、伝統織物「柳井縞」の染料を用いて創始したといわれています。それを、戦後、長和定二氏の指導を受け、独自の技法を加えて今日の美しい金魚ちょうちんを完成したのは、大島郡の上領芳宏氏です。古くは多くの家々で大人が作って子供に与えていました。柳井商工会議所

ということである。丁寧に(?)、作り方までWEBには記載されている。

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オリジナル金魚の展示の近くには、海防僧言われた僧・月性(げっしょう)の詩が飾られていた。攘夷と海防の重要性を説きまくり、維新志士を教育し続けた月性は、柳井市遠崎出身である。

男児立志出郷関 学若無成不復還 埋骨何期墳墓地 人間到処有青山
(訳)男児志を立てて郷関を出づ 学若し成る無くんば復還らず 骨を埋むる何ぞ期せん墳墓の地 人間到る處青山有り-月性

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月性肖像:山口県

男子が一たび志を立てて故郷を後にしたからは所期の目的が貫徹できない以上二度と郷里の土を踏まない。骨を埋めるに必ずしも古里の地を期すべきでない。世間には何処にでも墓地がある。若き頃そう詠った月性みずからは、無事故郷で死んだ。


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