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大陸からの侵略に怯えた大和朝廷の遺産、熊本県菊池市の鞠智城を訪ねる


時は7世紀。まだまだ出来たての大和朝廷は、唐・新羅連合軍を相手に朝鮮半島の白村江(はくすきのえ)で戦い、思いっきり負けました。おそらく国内だってまだそれほど安定していなかった当時、これは大事件だったことでしょう。

当時の大和朝廷の気持ちは想像に難くありません。「逆に新羅・唐に攻め込まれる!!ヤバい!!!」と。

謎の朝鮮式山城、鞠智城
ということで、大和朝廷は東国(当時、中部より東は全部東国)から防人(さきもり)を徴収し、唐・新羅連合軍からの侵略に備えます。その一環として設置したと言われるのが、この「鞠智城」。

余談ですが設置当初は「くくちじょう」と読まれていたそうですが、読みが「きくちじょう」へと変化し、表記も「菊池城」となったそうな。


場所はこんな感じ。

だいたいお城というと姫路城や大阪城みたいな「天守閣」のある、戦国大名的なイメージがわきますが、鞠智城のシンボルはかなりイメージが異なります。

こんな感じで、思いきり韓国風。それもそのはず、この城自体は百済からの渡来人が設計したらしいのです。白村江での大敗後、連合国百済からは大量の難民が日本に流れ込んできたと考えられ、その人たちが対唐・新羅のための城を九州から近畿までの一帯に作り上げたそうな。

もちろんこの城は建築学・考古学的根拠をもとに「こうだったであろう」と作っているわけで、そのままコレが建っていたわけではありません。また、これは「物見櫓」みたいなもので、こんなものや兵舎やらがたくさんあった東京ドーム12個分の広大なエリア全体が「鞠智城」だったそうです。


こんな感じで、たくさん城をつくったらしい。どれだけ当時の日本にとって白村江での敗戦が大事だったのか、よくわかります。

親切な説明が素晴らしい温故創生館
ちなみに鞠智城の素晴らしいところは、こうした復元だけでなく、歴史的背景の説明がずいぶん丁寧であること。

こちらの「温故創生館」では、色んな展示やパネルから鞠智城の謎に迫ることができます。不親切な資料館だと、いちいちスマホ x wikipediaで調べまくらないと意味がわからないのですが、ここは全くそんな必要がないくらい解説が充実してます。色んな論文集まで置いてあって、地元の研究者の熱の入りようが伝わってきます。


最近の発掘で、池跡から出てきたちっちゃな仏像。

さて、こんな鞠智城ですが、800年代には奇妙な事件について言及されています。

『文徳実録』858年
「菊池城院の兵庫の鼓が自ら鳴る」

兵庫、つまり武器庫の太鼓が独りでに鳴った・・・という心霊現象的報告。その直後には、火災報告も。

『三代実録』879年
「肥後国菊池郡城院の兵庫の戸が自ら鳴る」

今度は戸がひとりでに鳴り出します。。不気味なのは、色々他にも報告することがあるだろうに、謎の心霊現象「色々鳴る」だけが報告されているということ。こうなると、「鳴る」は何かのメタファーなのではないかと思わざるをえません。報告を受ける側も「あぁ、それね。戸が鳴ったってヤツね」と納得するような何か。

歴史家は「役人の不正を隠すために物の怪のせいにした」と解釈しているようですが、さすがにそれはバレるんじゃないの、という気もします。仮に不正をして中身を着服したのであれば、そう報告されるだろうし。

いったい、鞠智城の不思議現象とは何だったのか。なぜ鞠智城をこんなところ(太宰府のはるか南で、太宰府から近畿への通り道からは外れており、防衛には不向きと考えられる)という謎とあわせて、今後の研究が望まれます。

朝鮮半島と大和朝廷はすごく密接な関係があったんだな~、半島での敗戦は超大事だったんだなぁ、なんてぼんやり古代史について考えるのに最適なスポット、鞠智城。ややマニア向けですが、おすすめです。(こ)


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