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DAY96 四半的に厚焼き卵、小村寿太郎。九州の小京都・日南市飫肥(重伝建)


宮崎県南部、日南市にある飫肥(おび)。なかなかの難読地名です。そして遠方からの観光客には、ちょっとアクセスしにくい位置にあります。

日南市飫肥

戦国時代には島津氏と伊東氏が熾烈な奪い合いを展開したこの地は、飫肥藩として江戸時代の太平を享受しました。それほど重要な土地だったのでしょう。

その後は名産の飫肥杉などの産業によって、第二次大戦後まで宮崎県南の中心として確固たるポジションにありました。が、1950年の合併による日南市の誕生により、市街地が移動。飫肥の町は衰退してしまいます。

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そこで奮起した地元住民が、江戸時代の余韻を残す飫肥を守っていこうと景観保存に取り組み、1977年(九州で最初!)には重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選ばれました。

日本家屋に統一、軒の高さを揃えるなど地道な取り組みを進め、「九州の小京都」の地位を確固たるものとします。そんな飫肥は、良い意味でテーマパーク感が適度にある、重伝建マニア以外にもおすすめの街歩きスポットでした。以下ではその魅力の一部をご紹介します

 

スーパー射的・四半的射場(しはんまとしゃじょう)
駐車場に車を停めるといきなり登場するのが、この「四半的射場」。

いわばミニチュア弓道で、「的まで四間半、弓矢ともに四尺五寸、的が四寸五分で、全て四半」というのが特徴だそう。酒宴の席の余興として南九州の戦国武将や、後には一般人にも親しまれていたそうです。焼酎を飲みながら的当てなんて、南九州らしくていい感じ。

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初心者でも安心、指導員の方が丁寧に教えてくれます。

 

食べ歩きが異常に充実、厚焼き玉子におびの天ぷら
この飫肥、古くからの重伝建らしく通りは非常によく整備されています。と同時に、観光客に楽しんでもらう仕掛けも充実していて、四半的だけでなく、食べ歩きもうまく設計されてます。

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こちらは600円で購入できる引換券付きマップ「あゆみちゃん」。飫肥の町並みがわかりやすく地図になっているだけでなく、引換券で厚焼き玉子やおびの天ぷら、ドリンクなどと交換できるようになってます。

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「プリンのよう」と言われる(らしい)飫肥の厚焼き卵。たしかにおいしい。地元では、祝い事の際にふるまわれるそうな。

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こんな感じに七輪の上でじっくり焼いてます。

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わかりにくいけど、飫肥天。魚のすり身に豆腐や黒砂糖、味噌を加えて作っているそうです。江戸時代から伝わる庶民の食べ物だそうで、これもまたうまい。飫肥の人たちはいいものを食べていた模様です。

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思わず食べ歩いてしまうわけですが、飫肥のすごいところは、商売っ気はそこそこに、しっかり歴史を保存し道行く人に伝えているところ。

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おみやげや食べ歩きは比較的大通りに位置していて、

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昔ながらの景観を残す保存地区は、看板やお店もあまりなく、落ち着いた様子。

 

郷土の偉人・小村寿太郎と、マニアックな視点でまとめられた商家資料館

こちらは郷土の英雄、明治の外交官・小村寿太郎の生家。
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小村寿太郎は1901年に外務大臣に就任すると、1905年にポーツマスに於ける日露講和条約に調印、1911年には明治維新以来の懸念事項だった不平等条約の改正を成し遂げた。まさに郷土の偉人なのだけれど、身長が156cmと低く、顔立ちがそれぽかったため他国の外交団からは「ねずみ公使」(ラット・ミニスター)、日本でも「小村チュー公」などと呼ばれていたそう。

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さすがにチュー公はひどいですね。その他wikipediaにはいろんな逸話が掲載されています。

海軍大臣の西郷従道は小村に「その身体で外国人の中にまじったら、子どものように思われましょう」と言った。小村は「大丈夫です。私は日本を代表して行くのですから、日本は小さくても強いですからね」と答えたという。

李鴻章と対面した際、巨漢の李に「この宴席で閣下は一番小そうございます。日本人とは皆閣下のように小そうございますか?」と背の低さを揶揄されたのに対して、「残念ながら日本人はみな小そうございます。無論閣下のように大きい者もございます。しかし我が国では『大男 総身に智恵が回りかね』などといい、大事を託さぬ事になっているのでございます」と切り返したという。(wikipedia

個人的になかなか面白かったのは、大通りに面した「商家資料館」。飫肥杉で財を成した豪商の家が資料館として再生されたものだそう。

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いろんな民具やらが展示してあるのだけれど、ここの主要テーマは「度量衡と貨幣」のようだ。確かに商家資料館が取り扱うべきテーマではある。それによると、古代から「ツカ(=握った時の指四本の幅)」「ヒロ(=腕を横に広げた時の幅、今でも釣りではよく使う)」など、身体を基準に度量衡は定められていました。

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その度量衡(もののの重さなどの尺度)をはじめて全国で統一しようとしたのは織田信長で、後を継いだ豊臣秀吉によって土地の大きさも統一され(太閤検地)、最後に徳川家によって普及・完成されたとのこと。信長はそれまでの米・農業本位から商業経済に注目したことで勢力を拡大したとも言われていますが、その根幹には交換を成立させる基準の統一があったようです。

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最後に余った引換券でもういちど別のお店の厚焼き卵を食し、次の目的地・喜界島へ!


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